じゃがいもは最も身近な野菜の一つですが、食べ過ぎると腹痛や気持ち悪い気分になることがあり、注意が必要です。
食べ方を間違えると危険にさらされる可能性もあるので、理由を知り、対策方法を身に着けておくと安心ですね。
また、じゃがいもを食べ過ぎると、体内で脂肪に変わり、太る原因になってしまいます。
適量を食べることでじゃが芋の持つ豊富な栄養効果を取り入れて、肥満を予防しながらイキイキとした体を手に入れましょう。
Contents
じゃがいもを食べ過ぎるとどうなる?
じゃがいもを食べ過ぎると腹痛や下痢や気持ちが悪くなったり、おならが多くなることがあります。
その原因のひとつに豊富に含まれる食物繊維にあります。
じゃがいもには、キャベツの2倍の食物繊維が含まれています(蒸したじゃが芋3.5g・キャベツ1.8g)。
食物繊維はヒトの消化酵素では消化されない炭水化物で、腹痛やおなら、下痢や便秘の原因になることがあります。
腹痛
じゃがいもを食べ過ぎて腹痛になるのはいくつかの原因が考えられます。
ガスがお腹に溜まってしまう
ガスはそれ自体は悪さをおこしませんが、不快感や腹痛が問題です。
食物繊維の多いじゃがいもをたくさん食べると、腸内のガスの量が増えて、おなかが張る、痛む、おならが出やすくなります。
しかも日本人は、長年の野菜中心の食生活から大腸が長く、ガスがたまりやすい腸です。
じゃがいもは適量を食べるようにし、できてしまったガスはうつぶせ寝で下に降ろし、楽に排出しましょう。
お腹を壊してしまう
お腹を壊しやすい人は過敏性腸症候群の疑いがあり、食物繊維の多いじゃが芋を食べて下痢・便秘になり腹痛を引き起こすことがあります。
過敏性腸症候群とは検査を行っても目に見える異常がないにもかかわらず、下痢、腹痛、腹部膨満感、ガス、便秘などの症状に悩まされる病気です。
人口の10%程度の人が症状を抱え、特に女性に多いという報告がされています。
気持ち悪い
じゃがいもの皮や芽をしっかりととらずに調理してしまうと食中毒になる可能性があります。
じゃがいもの目や緑色になった部分にはソラニンやチャコニン(カコニン)と呼ばれる天然毒素が含まれ、食べると吐き気や下痢、嘔吐、腹痛、頭痛、めまい等の症状が出ることがあります。
少量なら健康な大人の場合は問題ありませんが、体調不良の時や幼児や老人などの場合は中毒を起こす場合があります。
加熱しても毒性はなくならないので、口に入らないようにすることが大切です。
- じゃがいもを保存するときは光に当てないようにする
- 家庭菜園の際には未熟なじゃがいもを収穫しないようにする
- 収穫や保管したときに傷がつかないようにする
- 調理するときは芽とその周り、緑色の部分を取り除く
- 苦みやえぐみの強いじゃがいもは食べない
他に、気持ちが悪くなる理由として食べ過ぎによる消化不良や、じゃがいもアレルギーがあります。
生のじゃがいもに触れたことで、アレルギー反応が起きて、皮膚や鼻やのどの粘膜にかゆみや刺激感を感じたり、吐き気や下痢、嘔吐、腹痛、頭痛、めまい、喘息の発作を起こすこともあります。
心当たりのある方は病院を受診しましょう。
おならが多くなる
不溶性食物繊維の多いじゃがいもを食べ過ぎると、腸内ガスを発生させ、おならになります。
おならが出ると恥ずかしかったり不快感はありますが、じゃがいもが原因のおならは善玉菌による「二酸化炭素や水素・メタン」でできており、においもしないためそれほど気にする必要はありません。
じゃがいもの食物繊維は、悪玉菌による臭い成分「硫化水素・アンモニア」を体の外へ排泄する働きがあります。
臭いおならを予防することができるので、適量を積極的にとりたいですね。
下痢
食中毒やアレルギーが原因で下痢になることがあります。
下痢になってしまった場合はお腹を温め安静にし、水分の補給が大切です。
下痢の場合の水分補給には、水やお茶よりもスープやみそ汁、果汁などが適しています。
失われたミネラルを水分とともに補いましょう。
野菜のおうち公式サイトの記事には、じゃがいもの芽の毒についても解説しています。
じゃがいもの芽は毒?名前や症状、妊婦には危険?すべてまとめ!じゃがいもの食べ過ぎが危険だと言われる理由
じゃがいもは食べ過ぎたり食べ方を間違えると危険を及ぼすことがあります。
油で揚げたじゃがいもにがんリスク
じゃがいもを高温で熱したときに生じる化学物質「アクリルアミド」にがんのリスクがある事がわかっています。
特に120度以上で加熱調理したフライドポテト、ポテトチップスにはせんべいの2倍以上多く含まれているという研究結果が報告されています。
食品安全委員会によると、日本人では油で揚げたジャガイモからの摂取が一番多いので、注意が必要です。
食品 | 平均値(mg/kg) | 最大値(mg/kg) |
フライドポテト | 0.27 | 1.10 |
ポテトスナック | 0.57 | 2.10 |
ビスケット類 | 0.17 | 0.56 |
せんべい | 0.11 | 0.37 |
- 必要以上に長時間高温で加熱調理しない。フライドポテトを作る際は、170℃で6分程度が目安。黄金色に軽く色が付いたらすぐに油から上げることでアクリルアミドを半分に抑えることができる。
- 煮る」「蒸す」「ゆでる」調理法が安全煮たり蒸す方法を選ぶ。揚げる場合でも、揚げる前に切ったじゃが芋を水に15分以上浸けておくだけでもアクリルアミドが減る。
- 低温で長期貯蔵したじゃがいもを高温調理しない低温で保存するとアクリルアミドができる原因となる成分であるブドウ糖と果糖が増えるので、フライドポテトを作るときは冷凍ではなく生を使う。
血糖値が上がりやすい
じゃがいもは食べた後に血糖値が急激に上がりやすい食べ物です。
GI値と呼ばれる数値であらわされており、値が100に近いほど食後血糖値が高くなります。
GI値の高い食品はインスリンの過剰分泌をおこし糖尿病などの病気のリスクが上がります。
GI値 | |
じゃがいも | 90 |
精白米 | 88 |
さつまいも | 55 |
もやし | 22 |
なんとお米やうどん、餅よりも血糖値が上がりやすいです。
食べる時は野菜の多いおかずから食べ始め、ゆっくりとよく噛んで食べることで、急に血糖値が上がることを防ぐことができます。
炭水化物(糖質)が多く含まれる
じゃがいもには糖質が多く含まれ、糖質は体の中で血糖値を上げたり、中性脂肪となって体に蓄えられて肥満の原因になります。
芋類の中でも多く、ブロッコリーの約3倍も含まれます。
炭水化物(糖質) | |
じゃがいも | 17.3g |
さといも | 13.1g |
ブロッコリー | 6.6g |
じゃがいもを食べ過ぎた時の対処法
じゃがいもを食べ過ぎたときの対処法を解説します。
腹痛、下痢を防ぐ
水分をこまめにたくさん摂り、その後の食事では食物繊維の少ないものを選び、お腹にやさしいものを食べるようにして安静に過ごしましょう。
もし、腹痛や下痢が起こってしまった場合は薬を飲んで様子を見て、収まらないようなら病院を受診しましょう。
血糖値の上昇・肥満を防ぐ
健康な人は食後1時間後に血糖値がピークになります。
じゃが芋を食べ過ぎて血糖値が上がりすぎないようにするには、食後30分~1時間の間にウォーキングを10分程度すると効果的です。
食後に眠くなりやすい人は食後血糖値が上がっている可能性があります。
軽く体を動かしたり、食器を洗ったりするだけでも違いがあるので、取り入れてみてください。
じゃが芋を食べ過ぎると太るはホント?
じゃがいもは高カロリーなので、食べ過ぎると太ってしまいます。
特に、フライドポテトにケチャップやマヨネーズのような高カロリーな調味料を付けて食べると体の中で脂肪になってしまいます。
茹でたり蒸する調理法を選び、シンプルな味付けでゆっくりよく噛んで食べるとカロリーが抑えられて血糖値の上昇が穏やかになり脂肪に変わることを防げます。
じゃがいものカロリーは100gで81kcalで、中サイズだと150g(可食部135g)約100kcalになりますが、ご飯の量に換算するとどのくらいか見てみましょう。
ご飯のカロリー
小盛り(100g) | 168kcal |
普通盛り(150g) | 252kcal |
大盛り(200g) | 336kcal |
なので、中サイズのじゃが芋2.5個分で普通盛りのご飯の量と同じくらいです。
じゃが芋を食べ過ぎた時はその分のご飯の量を少なくするとカロリーの摂り過ぎを防ぐことができます。
じゃが芋の一日の適量と優れた栄養効果
じゃがいもの一日の適量
一日中サイズ1個(100~150g)が適量です。
主成分が炭水化物でカロリーやGI値が高いですが、ビタミンC、カリウム、食物繊維などの栄養が豊富です。適量を守って食べるようにしましょう。
じゃがいもの優れた栄養効果
じゃがいもは栄養豊富で常備しておきたい食品です。
ビタミンC
じゃがいものビタミンCはでんぷんで守られており、加熱調理で減少しないのが特徴です。
皮ごと切らずに茹でると水に溶け出てしまうことを防げます。
コラーゲンの合成を促し粘膜を強化し、胃潰瘍や下痢予防にも有効で、抗酸化成分としても重要です。
食物繊維
不溶性食物繊維が水溶性食物繊維の2倍含まれており、腹もちがよく、腸内環境を整えてくれ、便秘の解消にも役立ちます。
また、血糖値の急上昇を防いだり、コレステロールの吸収を抑制したり、糖尿病や脂質異常症など生活習慣病の予防効果があります。
カリウム
体内の余分なナトリウム(塩分)を排出し、血圧の上昇を抑え、生活習慣病予防に役立ちます。
じゃがいもの煮物には煮汁にカリウムが溶け出ているので、煮汁事飲むのがおすすめですが、調味料に含まれる塩分も一緒に摂取してしまうので、薄味での調味しましょう。
そのほか、筋肉の収縮を正常に行ったり、骨粗しょう症を防いだりする働きがあります。
ビタミンB6
タンパク質の代謝に関わり、皮膚や神経を正常に保ちます。
タンパク質の摂取量が多いほど必要量は多くなります。
神経伝達物質のドーパミンやアドレナリン、赤血球の合成にも不可欠な栄養素です。
マグネシウム
カルシウムとともに骨を形成するのに必要で、体の中の様々な代謝に必須なミネラルです。
まとめ
じゃが芋を食べ過ぎると腹痛になったり、血糖値が上がって肥満になったり、フライドポテトの摂り過ぎでがんのリスクがあったり、怖い気持ちになります。
でも、じゃがいもは栄養豊富でおいしい食品で、食べると満腹感があって幸せな気持ちになります。
適量を超えないように気を付けて、調理方法を工夫すれば毎日食べてもいいので、楽しく食事に取り入れてくださいね。
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