じゃがいもの芽は食べない方が良いと聞いたことがあると思います。
じゃがいもの芽には、ソラニンやチャコニンという名前の毒があるからです。
じゃがいもの芽を間違って食べてしまうと量にもよりますが、毒素による身体への悪影響が出てしまう場合もあります。
今回は、じゃがいもの芽の毒素について、名前やなぜあるのか、どこまで食べれるのか、食べてしまったときの対処法、熱に弱いのかどうかといったポイントから詳しく解説します。
じゃがいもの芽を食べてしまうと、発熱などの症状が見られたり、死に至る可能性もあると言われているため、症状や致死量についても解説します。
じゃがいもの芽の毒素に関する知識があることで、より安全にじゃがいもを食べれるようになります。
Contents
じゃがいもの芽の毒素を食べたときの症状は?
じゃがいもの芽には毒素が含まれていて、食べてはいけません。
毒素を食べてしまうと、体調や摂取量に応じて症状が出てくる場合があります。
同じ量を摂取しても、症状が出る人と出ない人がいて、症状の内容も人によってさまざまです。
じゃがいもの芽を食べたときの症状は?
じゃがいもの芽を食べたときに起こる症状をまとめると、表のようになります。
比較的軽い症状 |
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より重い症状 |
|
じゃがいもの毒素は、「アセチルコリンエステラーゼ」という酵素の働きを異常にしてしまいます。
この酵素は、神経からの情報を身体全体に伝えていて、働きが悪くなることで、あらゆる症状が出るのです。
毒素が体内に入ると、発熱やのど・口の渇きなどが現れ、時間が経つにつれて頭痛や腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、めまいといった症状も出てきます。
また、死亡に至る寸前の量を摂取すると、より重い症状が出てしまいます。
大人と子供で、症状が出る目安は、
- 体重1kgにつき1mgの毒素で、50kgの人であれば50mgの摂取
- じゃがいもの芽の毒素50mgの摂取、量は6~7個
- 大人に比べて、より少ない量で症状が出てしまう可能性がある
- じゃがいもの芽の毒素15.6~40mgの摂取、量は2~3個
です。
「ほんの少しだから、大丈夫」とは思わずに、少ない量でも症状が出る場合があると覚えておきましょう。
じゃがいもの芽を食べたときの症状が出るまでの時間は?出てからの時間は?
症状は早ければ20分~1時間後、遅ければ12時間後や数日後に出ることが多いです。
体内から毒素が抜けなければ、症状は何日間も続く場合があります。
じゃがいもの芽の毒素とは?
じゃがいもの芽の毒素は芽の根元から発生し、じゃがいもの表面上に作られます。
じゃがいもの芽の毒素の特徴には、
- じゃがいもには、100g(一般的なMサイズのじゃがいも約1個分)あたり約7.5mgの毒素がある。芽の部分には、200~400mg含まれていることもある。
- 毒素の30~80%が皮の周辺にあり、芽に最も多く含まれていると考えられる。
- 毒素は芽自体にも芽の根元にもある。芽の長さは関係なく、目立たない小さい芽でも、毒素があるので注意する。
といったものがあります。
じゃがいもの芽には多くの毒素が含まれていて、安全に食べるためには、芽を取り除くことが必要です。
じゃがいもの芽の毒素の名前
じゃがいもの芽の毒素は、
ソラニンやチャコニン
という名前です。
ソラニンやチャコニンは、糖とアルカロイドを主な成分とする「グルコアルカロイド」と呼ばれる毒の一種です。
ソラニンやチャコニンは天然毒素で、じゃがいもの中に含まれています。
動植物には天然毒素を持つようになったものが多く存在しますが、じゃがいもの芽の毒素は天然毒素の代表と言われるほど有名です。
ソラニンは神経系に影響を及ぼす毒素で、ソラニンとチャコニンで同様の症状が出ますが、チャコニンはソラニンよりも危険性が高いとも言われます。
じゃがいもの芽の毒素はなぜある?
じゃがいもそのものを食べても毒素による影響は心配ないですが、芽に多くの毒素が含まれるようになったのには理由があります。
じゃがいもは、土の中で育つときに、外敵から身を守るために、有害な物質である毒素を持つようになったとされます。
栽培中や収穫後にじゃがいもが
- 光に当たる
- 表面を傷つけられる
といったストレスを受けることで、ソラニンやチャコニンの生成が始まります。
じゃがいもは表面のくぼみから芽を伸ばし、立派な葉や花をつけながら、実を増やしていきます。
この芽が外敵によって奪われてしまえば、実を多くつけることができなくなってしまいます。
じゃがいもは子孫を残すために芽に毒を持ったのですね。
じゃがいもの芽の毒素の致死量は?
じゃがいもの芽の毒素は致命率は高くありませんが、体調や摂取量によって死亡につながる可能性もあります。
始めは軽い食中毒症状でも、症状が続くことで死に至ってしまう場合もあるのです。
体重1kgにつき5mg前後が致死量とされていて、具体的には、
体重50kgの大人なら、
毒素150~300mgの摂取
になります。
子供なら、
大人の1/10の摂取
でも致死量になってしまうとも言われていて、
子供は大人よりも注意が必要です。
抵抗力が弱っている人は、1kgにつき3mgと、より少ない量でも致死量になってしまう危険性があります。
じゃがいもの芽の毒素は食中毒症状だけではなく、死に至る可能性があることから、毒性の強さを感じますね。
じゃがいもの芽の毒素は妊婦や赤ちゃんに影響出る?
じゃがいもの芽による症状は、大人と同じだと考えられ、妊婦だから特にリスクが高いというわけではありません。
じゃがいもの芽の毒素が身体に影響を及ぼすと思うと、妊婦さんは特に不安になってしまいますよね。
少量の毒で症状が出るわけでもなく、食中毒症状が出てしまうほど、じゃがいもを食べなければ、妊婦の健康に影響はないです。
もちろん、妊婦がじゃがいもの芽を食べてしまったことによって、赤ちゃんに影響が出たという報告も現在までありません。
子供は少量でも症状が現れる場合もありますが、胎児は母体に影響がない限り、特に心配しなくても大丈夫です。
授乳中でも母乳に毒素が残ったという事例もないため、深刻になりすぎることもありません。
ただ、妊婦は抵抗力が弱まっている場合もあるので、注意は必要かもしれませんね。
じゃがいもは栄養価の高い食材で、芽をしっかり取り除いていれば、積極的に食べたい野菜です。
じゃがいもの芽の毒素を食べてしまったときの対処法
じゃがいもを食べて何らかの症状が見られたときには、すぐに医療機関を受診しましょう。
自分の判断で家にある薬を飲むのではなく、必ず医師に相談してください。
病院に行く前に下痢や嘔吐が始まってしまった場合は、下痢止めや吐き気止めは使わずに、とにかく毒素を体外に排出することが重要です。
じゃがいもの毒素は口に入れると、苦みや辛みを感じる場合があり、いつもと味が違うときは飲み込まずに吐き出します。
毒素が体内に入るのを止められる場合もあるのです。
じゃがいもの芽の毒素は熱に弱い?
じゃがいもの芽の毒素は熱に強く、加熱しても完全に消すことはできません。
じゃがいもの調理別に比べてみると、
茹でる・煮る |
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煮る・焼く |
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といった実験結果もあります。
ゆでる・煮るでは毒素を減らすことはできず、揚げる・焼くでも完全に毒素を消すことはできないのです。
毒素が減少したとしても、同じ温度で加熱した場合もバラつきが見られたという報告もあるようです。
じゃがいもの芽の毒素は、加熱すれば良いというわけではなく、取り除くのが一番確実だと分かります。
じゃがいもの芽の毒まとめ
じゃがいもの芽には毒素が含まれていて、食べてしまうと身体に悪影響を与えることがあります。
症状が出る量や致死量は、人によって変わってきますが、美味しく食べるためにも、調理には注意が必要です。
「大量に食べなければ大丈夫」と簡単に考えず、食中毒や死の危険性があることをしっかり頭に入れておきましょう。
じゃがいもの芽は加熱しても完全に消すことはできず、また、毒素による影響は摂取してみないと分からない部分があります。
“微量なら”とは思わずに、毒素はしっかり取り除いてくださいね。
じゃがいもの芽の毒素は死に至る場合もあると聞くと怖くなってしまいますが、きちんと処理して食べれば大丈夫ですよ。
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