ちりめんかぼちゃの特徴や旬の時期!味はねっとり甘さは控えめ

ちりめんかぼちゃは愛知県の伝統野菜で、表面にちりめん模様のような凸凹がある特徴的な見た目をしています。

現在では見かけることがほとんどできなくなった日本かぼちゃの一つです。

皮が他のかぼちゃとは明らかに違いますが、ごつごつした皮も食べられます。

味や栄養、カロリーがとても気になりますよね。

旬の時期や産地、種の価格や栽培時の育て方のコツも載せているので、参考にしてください。

皮が固いので楽な切り方、食べ方やレシピもご紹介していきます。

ちりめんかぼちゃについて詳しくなればなるほど実物を手に取って楽しみたくなりますよ。

ちりめんかぼちゃの特徴

ちりめんかぼちゃはその名の通り、表面にちりめんの模様のような小さく凹凸したこぶがある日本かぼちゃです。

愛知県の伝統野菜で、愛知県海部郡大治村砂子で明治から栽培されていた、同じくちりめん模様のある砂子南瓜(すなごかぼちゃ)を改良し、昭和7年から栽培されるようになりました。

昭和45年頃までは県内の料亭や青果店で多く目にすることができましたが、近年の西洋かぼちゃ人気に押され、ほとんど栽培されなくなってしまいました。

東京渋谷の美術館に展示されたこともあるほど、見た目のインパクトが強く、種を植えれば次の年も収穫できる、種まで完全国産の貴重なかぼちゃです。

読み方・別名 ちりめんかぼちゃ
旬の時期 7~8月
産地 愛知県
食べ方 煮物 胡麻和え グラタン スープ
味について ねっとり 甘さ控えめ

ちりめんかぼちゃの味や食感

日本かぼちゃの特有のねっとりした食感を持ち、煮崩れしにくく、煮物や汁物に合います。

  • 水分が多くねっとりした食感
  • 凸凹している皮はコリっとして豆のような味
  • 甘さ控えめ

ちりめんかぼちゃの産地

愛知県の海部郡大治町砂子が原産で、現在も愛知での生産が最も多く、愛知県の伝統野菜35品種のうちの一つとなっています。

伝統野菜と言われるものの多くは日本で栽培はされていても、残念ながら種は海外で生産されたものが多いそうです。

しかし、「種から国産」の理念を持つ「あいち在来種保存会」という組織により、ちりめんかぼちゃは種も地元で採取し続け大切に守られています。

ちりめんかぼちゃの旬の時期

水分が多く腐りやすいため他のかぼちゃのように長く保存して甘さを増やすことはしません。

そのため、旬は収穫時期と同じく7~8月です。

愛知県 7~8月

ちりめんかぼちゃの形や中身の色

皮に独特のひだがあり、きれいな緑色で網状の模様があります。果肉は、芯の濃い黄色が鮮やか。

  • ちりめん状の凸凹したこぶがあり皮は硬い。
  • 扁平な形、重さは2.5kgにもなる。
  • 実の中心の色は濃い黄色。皮に近づくにつれて緑になる。

ちりめんかぼちゃのカロリー

残念ながら調べてもわかりませんでした。

日本かぼちゃの数値を参考にしました。

〇100gあたりのカロリー(日本かぼちゃを参考)

49kcal/100g
ゆで 60kcal/100g

ちりめんかぼちゃの栄養

カロリーが低いため、ダイエットに向いています。

一般的なかぼちゃ カリウム:高血圧予防効果

〇抗酸化ビタミンが豊富でアンチエイジング効果あり

①β-カロテン:緑黄色野菜に多く含まれる。体内でビタミンAとして働き、皮膚や粘膜を正常に保つ美肌効果がある。抗酸化作用、抗ガン作用がある。日焼け・シミ予防。

②ビタミンE:野菜の中でもトップクラスに多い。抗酸化作用があり、活性酸素の働きを抑制し、動脈硬化やがんの予防。末梢血管を拡張し、冷え性予防にも役立つ。

③ビタミンC:メラニンの生成を抑え、シミ予防。抗酸化作用。

ちりめんかぼちゃ 水分が多く糖質が少ないため、カロリーが低い。

ちりめんかぼちゃの切り方

皮が硬いため切りにくいかぼちゃです。

丸々1個から切る場合

  • 菜箸でおしりに穴を開けて、包丁を差し入れて切る。
切り方
  1. かぼちゃをひっくり返してまな板において固定する。ぐらつく場合は布巾を敷く。
  2. ヘタの反対側のおしりの部分に菜箸を差し込み、種の部分まで入れる。
  3. 菜箸を抜き、できた穴に包丁の先端を差し入れる。
  4. 包丁が入ったら、包丁を持っていないほうの手でかぼちゃが動かないようにしっかりと固定して包丁を押し下げる。
  5. 切り残した部分を手で割る。種とワタをスプーンでしっかりとこそげとる。
  6. 1/4カットにしたい場合は、ヘタを包丁の根元を使って切り落とし、切断面を下にして半分に切る。

スライスする場合

切り方
  1. まな板に濡れ布巾を置き、皮を下にかぼちゃを置く。かぼちゃが動かないように固定する。
  2. 包丁の先がまな板の上から動かないように抑え、包丁を下におろす。

てこの原理を利用すると切りやすいです。

かぼちゃが動かないようにしっかり固定することがコツです。

きんぴらなどの炒め物

スライスしたものを5~7mm幅に切る。

煮物の場合

切り方
  1. 1/4カットしたものを平らな面を下にして安定させ、お好みでところどころ皮をそぎ落とす。
  2. 皮のほうを手前に向けて、切断面を下にして安定させ、包丁の根元を使って3㎝幅に切る。
  3. 3㎝幅の物を同じく皮を手前にして3㎝角になるように包丁の根元を使って切る。

※包丁の根元のほうが力が入りやすいです。

汁物の具に使用する場合

3㎝角の物を皮を手前に置き、3㎜幅に切る。

硬くて切れない場合は、ラップにくるんで電子レンジで2分ほど加熱すると、軟らかくなります。

電子レンジを使用しないほうがいい場合

  • 大きいかぼちゃを切って、残りを保存する:残ったかぼちゃが傷みやすくなる。
  • 煮物に使う:火が通りすぎて煮崩れしやすくなるため加熱しすぎないようにしましょう。

「やさいのおうち」のこちらの記事も参考にしてください。
かぼちゃの皮むきのコツ レンジや包丁の簡単な方法と煮物で必要?

ちりめんかぼちゃの育て方・栽培方法と収穫時期

ちりめんかぼちゃは収穫した実から種を取り、翌年また育てることができます。

苗は入手が難しいため、種を購入することがおすすめです。

地域別の種まき・収穫時期

種まきは2月上旬にトロ箱へ行い、育った苗を土に植える(定植)時期は4月中旬、収穫は7~8月です。

地域 種まき時期 収穫時期
愛知県 2月上旬 7~8月

 

育て方

苗は販売していないので種を購入します。

実が成らなくなるため貧栄養状態を維持し、追肥はあまり必要ではありません。

直に畑にまいてもできなくはないですが、基本的にはトロ箱で育苗してから畑に植えトンネル栽培します。

着果数は少なめです。

栽培のポイント

  • 種を購入
  • 貧栄養状態の維持
  • 育苗してから土に植える

①種まき~移植

トロ箱に土を入れ、直線の溝を付け、その溝に沿って種をまきます(条まき:すじまき)。

とがった方を下にしてまき、ビニールで覆い保温します。

1㎝ほど土をかぶせ、手で軽く押さえ、水やりします。

苗が育ったら幅2mの畝(うね)をたててトンネルを張り、株間を90㎝あけて移植します。

②つるが出るまで

25~30℃前後に温度を保ち本葉が4~5枚出たら、元気のいいつるを一株当たり4本残し、その他の株は間引きます。

「ホットキャップ」と呼ばれる透明なフィルムやプラスチックでできた覆いをかけて保温します。

③花が咲いてから収穫まで

花が咲いたら雌花に雄花の花粉をつけて人工授粉させ、実が十分大きくなり、座(かぼちゃと茎の付け根部分)が乾燥して木のように枯れ、表面の色がオレンジがかったクリーム色になると収穫の目安です。

※自然に任せておいても虫の働きにより受粉されますが、人工授粉すると確実です。

※傷がつくとそこから痛みやすいので、長く保存したい場合は実ができた後、下に発泡スチロールのトレーなど(ホームセンターなどで購入可)敷くと良いです。

ちりめんかぼちゃの収穫時期

ちりめんかぼちゃは早ければ7月中旬から収穫することができます。

収穫の目安

  • 「座(かぼちゃと茎の付け根部分)」が枯れている
  • 表面の色が白と緑から、ややオレンジがかったクリーム色へ変化
スポンサードリンク

ちりめんかぼちゃの価格

生のかぼちゃ:500~1000円※直売所などではより安く購入できる可能性あり。

:インターネット通販で

20粒 200粒
ちりめんかぼちゃの種 350円 3080円

となっています。(2020年12月の値段です)

また、愛知県種苗協同組合でも購入可能です。

愛知県種苗協同組合:電話052-301-8507、ウェブサイトhttp://www.aichi-tanenae-org.jp

:インターネット通販も地元の種苗屋さんも苗を販売しているところはありません。

ちりめんかぼちゃの食べ方やレシピ

上品な甘さとねっとりとした食感で、水分が多くもっちりとしていて、煮崩れしにくいため煮物が最もおすすめの食べ方です。

皮の部分が伝統の味で、料亭料理に珍重されています。

茹でてドレッシングで和えてサラダにしても楽しめます。

生のまま薄切りにスライスして砂糖で味つけした酒粕に一晩漬けたり、味噌や麺つゆに半日漬けても美味しいです。

煮物

皮ごと煮ると、ごつごつとした皮がコリっとした歯ごたえと豆のような味でおいしいです。

かぼちゃの煮物(2人前) 材料

  • ちりめんかぼちゃ 500~600g
  • 水        100ml
  • 砂糖       大さじ4
  • 醤油       大さじ1
  • 塩        小さじ1/2
作り方
  1. ちりめんかぼちゃは種とワタを除いて3㎝角に切ります。
  2. 水を鍋に入れ切ったちりめんかぼちゃの皮を下にして並べます。
  3. 砂糖を入れ弱火~中火でコトコト10分煮ます。
  4. 醤油と塩を加え5~7分煮ます。
  5. 竹串がささるほど火が通って軟らかくなっていれば火を止め、完成です。

焼き物・揚げ物・炒め物・グラタン

オーブンでじっくりと火を通すとしっとり感や甘さが増し、おいしく頂けます。

崩れにくいため炒め物や揚げ物にも向いています。

スープ

水分が多く裏ごししやすいので、スープにも向いています。

まとめ

ちりめんかぼちゃを初めてみた時、草間彌生さんの「南瓜」の作品を思い出しました。

とってもインスピレーションをかきたてる見た目をしていますよね。

美術館に展示されたエピソードにも納得です。

一時は生産が減りましたが、愛知県で大切に継承され、今は伝統野菜の人気が上がるとともに復活の兆しがあります。

是非機会があれば、手に取ってちりめんかぼちゃの個性的な見た目や味を楽しんで、ここまで続いてきた歴史に思いを馳せてみてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です