小菊かぼちゃは横に切ると菊の花のように見える、かわいらしいかぼちゃです。
生産量が少なく、特徴をご存じの方は少ないかもしれません。
今回は、小菊かぼちゃの旬の時期やカロリーや栄養について詳しくご紹介していきます。
産地が限定されていて手に入りにくいかぼちゃですが、種や苗をインターネットで買うことができるので、育てたものを味わうことができます。
価格や栽培方法や育て方も載せていますので参考にしてください。
小菊かぼちゃは一般的なかぼちゃと味や食感が異なるので、合うレシピや切り方、食べ方を知って、色々食べ比べて違いを楽しんでみてください。
Contents
小菊かぼちゃの特徴
小菊かぼちゃは日本かぼちゃの一種です。
直径15cm前後、重さ500~800g程で横に切ると菊の花に似ています。
生産量は少なく、希少価値が高いです。
粉質で甘い西洋かぼちゃとは異なり、粘質で甘さ控えめで和食に向いています。
料理の器としても多く使われ、京都や大阪への出荷が多く、割烹料理に重宝されています。
同じく日本かぼちゃの「菊座かぼちゃ」に似ていますが小菊かぼちゃのほうが小ぶりです。
読み方・別名 | こぎくかぼちゃ |
旬の時期 | 7月中旬頃から9月上旬 |
産地 | 石川県、福井県、福島県 |
食べ方 | 煮崩れしにくく和食に適している (煮物、蒸し物、料理の詰め物、天ぷら、コロッケ) |
味について | ねっとり 上品な甘さ |
小菊かぼちゃの味や食感
食感はねっとりとした粘質で甘みは控えめですが、煮崩れしにくく、上品な甘さで味がしみこみやすいため、昔から日本料理に重宝されてきました。
近年はホクホクとして甘く、保存が可能な西洋かぼちゃが好まれる傾向にあり生産量は減ってきていますが、日本カボチャ特有の食感や味、伝統野菜としての良さに再注目されています。
小菊かぼちゃの産地
石川県や福井県(能登)が主な産地です。
福島県(会津)でも栽培され、それぞれ伝統野菜として大切にされています。
小菊かぼちゃのの旬の時期
7月中旬頃から9月上旬頃が旬です。
西洋かぼちゃと違い、追熟させても甘味は増えず水分量が多いため収穫後の貯蔵性も低いです。
白い粉(ブルーム)が吹いたようになって皮が硬くなっていたら食べごろです。
小菊かぼちゃの形や中身の色
黒緑色の皮と明るい黄色の果肉が特徴です。
日本かぼちゃ特有の深い溝があり凸凹があります。
完熟すると皮が赤くオレンジ色になります。
小菊かぼちゃのカロリー
西洋かぼちゃと比較してカロリーも糖質も低いです。
100gあたりのカロリー
カロリー | 糖質 | |
小菊かぼちゃ | 49kcal | 10.9g |
西洋かぼちゃ | 91kcal | 20.6g |
小菊かぼちゃの栄養
ヘルシーでダイエットに向いています
一般的なかぼちゃ | カリウム:高血圧予防効果
〇抗酸化ビタミンが豊富でアンチエイジング効果あり ①β-カロテン:緑黄色野菜に多く含まれる。体内でビタミンAとして働き、皮膚や粘膜を正常に保つ美肌効果がある。抗酸化作用、抗ガン作用がある。日焼け・シミ予防。 ②ビタミンE:野菜の中でもトップクラスに多い。抗酸化作用があり、活性酸素の働きを抑制し、動脈硬化やがんの予防。末梢血管を拡張し、冷え性予防にも役立つ。 ③ビタミンC:メラニンの生成を抑え、シミ予防。抗酸化作用。 |
小菊かぼちゃ | ・水分量が多い ・カロリーや糖質が控えめ ・ビタミンやカロテンも西洋かぼちゃより少ない |
小菊かぼちゃの切り方
小菊かぼちゃは小さく、肉質も水分が多く柔らかで皮もそれほど硬くないため、包丁がすんなり入りやすいかぼちゃです。
器として使う場合
- 器に使う場合は横にして置き、好みの位置の上から包丁をおろして切り、種とワタをくりぬく。
スライスする場合
- まな板に濡れ布巾を置き、皮を下にかぼちゃを置く。かぼちゃが動かないように固定する。
- 包丁の先がまな板の上から動かないように抑え、包丁を下におろす。
てこの原理を利用すると切りやすいです。
かぼちゃが動かないようにしっかり固定することがコツです。
きんぴらなどの炒め物
- スライスしたものを5~7mm幅に切る
煮物の場合
- 1/4カットしたものを平らな面を下にして安定させ、ところどころ皮をそぎ落とす。
- 皮のほうを手前に向けて、切断面を下にして安定させ、包丁の根元を使って3㎝幅に切る。
- 3㎝幅の物を同じく皮を手前にして3㎝角になるように包丁の根元を使って切る。
※包丁の根元のほうが力が入りやすいです。
汁物の具に使用する場合
- 3㎝角の物を皮を手前に置き、3㎜幅に切る。
硬くて切れない場合は、ラップにくるんで電子レンジで2分ほど加熱すると、軟らかくなります。
「やさいのおうち」のこちらの記事も参考にしてください。
かぼちゃの皮むきのコツ レンジや包丁の簡単な方法と煮物で必要?小菊かぼちゃの育て方・栽培方法と収穫時期
小さいため宙づりにして育てやすく、整った形に仕上がります。
地域別の種まき・収穫時期
早く生育し、たくさん採れます。
地域 | 種まき時期 | 収穫時期 |
中部地方 | 1~5月(1~3月はトンネル栽培) | 5~8月(5~6月はトンネル栽培) |
育て方
西洋かぼちゃと違い、親づるに実が成らないので、摘芯します。
①種まき
苗床と畑のどちらの場合も、直径4~5センチ、深さ1センチくらいの穴に種2~3粒、とがった方を下にしてまきます。
畑にまく場合は1メートル程度間隔をあけ、1センチほど土をかぶせ、手で軽く押さえ、水やりします。
②つるが出るまで
25~30℃前後に温度を保ち本葉が4枚程度出たら、親づるを摘芯し、小づるを4本くらい伸ばし、小づるの10節ほどに着果させます。
苗床の場合は30日程たち、本葉が4~5枚になったら畑に植えます。
その際は「ホットキャップ」と呼ばれる透明なフィルムやプラスチックでできた覆いをかけて保温します。
③花が咲いてから収穫まで
花が咲いたら雌花に雄花の花粉をつけて人工授粉させ、実ができて25日後に収穫できます。
※自然に任せておいても虫の働きにより受粉されますが、人工授粉すると確実です。
※傷がつくとそこから痛みやすいので、長く保存したい場合は実ができた後、下に発泡スチロールのトレーなど(ホームセンターなどで購入可)敷くと良いです。
宙づり栽培のやり方
主な産地である石川県では、水田だった土地を有効活用し、地元の農家を中心にパイプを用いた宙づり栽培が盛んにおこなわれています。
形や色良く生産することができます。
- 支柱立て:種まき・植え付け後に雨よけ支柱やアーチ支柱などを使って、30cm間隔で挿し、アーチ状に支柱を立てます。支柱がぐらつかないように横棒を3カ所に渡してひもなどで固定します。アーチ全体を覆うように10cm角目の園芸用ネットを張り、たるみがないようにひもなどで留めて固定します。
- 摘芯、整枝、誘引:子づるが伸びてきたら、親づるの先端をハサミで切り(摘芯)、元気のよい子づる3本を残してほかは付け根から切りとります(整枝)。伸びたつるは、その都度麻ひもなどで支柱やひもに誘引します。
- つり玉:実が大きくなってきたら、重みで落下するのを防ぐため、果物ネットなどで果実をつるし、支柱に結びつけて補強します。
小菊かぼちゃの収穫時期
西洋かぼちゃのようにヘタの部分がわかりやすくコルク上にならないので、皮の色と粉(ブルーム)の有無を見て決めるほうがおすすめです。
収穫の目安
- 着果後25日で収穫
- 皮が硬くなり、緑色で粉(ブルーム)が吹いたようになる。
(完熟すると皮がオレンジ色になる) - ヘタが褐色になる
小菊かぼちゃの価格
〇生のかぼちゃ:500円前後※直売所などではより安く購入できる可能性あり。
〇種:インターネット通販で
1袋10ml(60粒) | 10袋 | |
小菊かぼちゃの種 | 385円(税込) | 3080円(税込) |
となっています。(2020年11月の値段です)
〇苗:「農業屋.com」では苗が4本入り713円で販売されています。
小菊かぼちゃの食べ方やレシピ
型崩れしにくく粘質で甘みが少ないので、素材の味を引き立たせるため薄味の煮物がおすすめです。
また、淡泊な味なので、肉詰めの蒸し焼きなど、豚肉でコクを足し、しっかり味を付ける調理法が合います。
より甘くおいしくする方法は、じっくりと時間をかけて焼くことです。
好みの厚さに切り、170度前後のオーブンで20分程度焼くことで、ホクホクした食感で、しっとり感も加わり甘くなります。
近年は、コロッケなどにも利用されています。
煮物
小菊かぼちゃのそぼろあんかけ(2人前)
〇材料
- 小菊かぼちゃ 500g
- だし 300ml
- 砂糖 大さじ3(A)
- 醤油 大さじ1(A)
- 酒 大さじ1(A)
- 豚ひき肉 150g
- サラダ油 大さじ1/2
- 砂糖 大さじ1
- 醤油 大さじ1
- 水 300ml
- 水溶き片栗粉 適量
- 小菊かぼちゃは種とワタを除いて3㎝角に切り、皮をところどころ剥きます。
- だしを鍋に入れ、切った小菊かぼちゃの皮を下にして並べます。
- 煮立ったらAを入れ弱火~中火でコトコト柔らかくなるまで煮ます。
- 別鍋で、豚ひき肉をサラダ油でいため、砂糖・醤油・水を加えて煮立て、水溶き片栗粉を加えてとろみをつけます。
- 器にかぼちゃを盛り、4をかけて完成です。
揚げ物
天ぷら・コロッケなどの揚げ物にも合います。
蒸しもの
肉を加えてかぼちゃ饅頭にするとコクが出ておすすめです。
各地の小菊かぼちゃ
能登小菊かぼちゃ
小菊かぼちゃのほとんどは石川県と福井県(能登)で作られ、昭和40年代から能登の伝統野菜として大切にされてきました。
会津小菊かぼちゃ
福島県の会津若松市飯寺で作られています。
江戸時代から作られはじめた歴史ある会津小菊かぼちゃは、戊辰戦争の籠城中に食べられたという逸話もあります。
神田小菊かぼちゃ
神田小菊かぼちゃは神田育種農場が開発し販売している小菊かぼちゃの品種の一つです。
まとめ
見た目もかわいく、希少価値の高い小菊かぼちゃを色々と知るうちに実際に手に取ってみたくなりますね。
日本人が昔食べていた味を自分の舌で感じると、いい人生経験になります。
農家の方が伝統として大切に守っている小菊かぼちゃ、是非機会があれば手に入れて、いろいろな食べ方を楽しんでみてください。
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