伯爵かぼちゃは栗かぼちゃの一種ですが、白い見た目が美しく、メロンに似た形や香りをしています。
特徴的な白い皮は硬いため長期保存が可能で、夏の終わりに収穫した伯爵かぼちゃを年が明けてもおいしく食べることができます。
皮が硬いので、楽に切れる方法や食べ方について触れていくので、調理の参考にしてください。
伯爵かぼちゃの旬の時期や、気になるカロリーや栄養についても詳しくご紹介していきます。
種や苗を買って栽培することもできるので、価格や育て方を学んで、自分で作る方も多くいらっしゃいます。
伯爵かぼちゃは貯蔵性が高く、高価なので育てるメリットがあり家庭菜園で人気があります。
ホクホクとして熟成すればするほど甘くなる特徴を持つ伯爵かぼちゃの、おすすめレシピも紹介しているので、いろいろな食べ方を楽しんで美味しく召し上がってください。
Contents
伯爵かぼちゃの特徴
伯爵かぼちゃ(はくしゃくかぼちゃ)は栗かぼちゃの一種で、「松島交配」というブランドで宮城県の渡辺採種場が販売しています。
同じ白皮系の雪化粧と同じく、夏の終わりに収穫したかぼちゃを年明けまで長期保存できるホクホク系食感のかぼちゃです。
皮が白く、果肉の色も黄色に近い色で大きさもプリンスメロンに似ている上に、香りまでメロンに似ています。
味が薄そうに見えますが、味が濃く荷崩れしにくいので煮物に合います。
読み方・別名 | はくしゃくかぼちゃ |
旬の時期 | 収穫時期:8~9(北海道産) 出荷時期:9~12月(北海道産) |
産地 | 北海道はじめ全国で栽培 |
食べ方 | 煮物、揚げ物、焼き物、炒め物など |
味について | 収穫直後:しっとりして甘さ控えめ 熟成後:ホクホクとして甘い |
伯爵かぼちゃの味や食感
強い粉質でホクホクとして青臭さが少なく食べやすいです。
収穫直後と長期保存後では味が変わります。
収穫した直後 | しっとり 甘さ控えめ |
長期保存後 | ホクホク 甘みが増す |
より甘くおいしくする方法は、じっくりと時間をかけて焼くことです。
好みの厚さに切り、170度前後のオーブンで20分程度焼くことで、ホクホクした食感で、しっとり感も加わり甘くなります。
伯爵かぼちゃの産地
種や苗がネットでも販売され、家庭菜園で育てることができるため、全国で栽培可能です。
調べても具体的な生産量はわかりませんでしたが、北海道産のものがインターネットで購入できることから、他のかぼちゃと同じく北海道の生産が多いのかもしれません。(かぼちゃ全体の生産量の半分は北海道産)
伯爵かぼちゃの旬の時期
収穫の1か月後からおいしくなり、3か月後が最もホクホクとした食感で甘く美味しくなるとも言われています。
表皮が白く硬い伯爵かぼちゃは長期保存に向いており、夏の終わり頃に収穫されたものを長期熟成させることで水分が飛び、糖度が増します。
北海道等の冷涼地 | 9~12月 |
中間地 | 8~11月 |
鹿児島県等の暖地 | 7~10月 |
伯爵かぼちゃの形や中身の色
ハート型をしていて重さは約2kgにもなる中大型のかぼちゃです。
皮の色が白で、果肉の色はオレンジ色より黄色に近いためメロンに似ています。
アーチ型に支柱をたてて、蔓を巻きつけ空中で育てると美しいハート型ができやすいです。(宙づり栽培)
伯爵かぼちゃのカロリー
残念ながら調べてもわかりませんでした。
栗かぼちゃに近いカロリーだと考えられます。
〇100gあたりのカロリー(栗かぼちゃを参考)
生 | 91kcal/100g |
ゆで | 93kcal/100g |
焼き | 122kcal/100g |
冷凍 | 83kcal/100g |
伯爵かぼちゃの栄養
一般的なかぼちゃ | カリウム:高血圧予防効果
〇抗酸化ビタミンが豊富でアンチエイジング効果あり ①β-カロテン:緑黄色野菜に多く含まれる。体内でビタミンAとして働き、皮膚や粘膜を正常に保つ美肌効果がある。抗酸化作用、抗ガン作用がある。日焼け・シミ予防。 ②ビタミンE:野菜の中でもトップクラスに多い。抗酸化作用があり、活性酸素の働きを抑制し、動脈硬化やがんの予防。末梢血管を拡張し、冷え性予防にも役立つ。 ③ビタミンC:メラニンの生成を抑え、シミ予防。抗酸化作用。 |
伯爵かぼちゃ | ・硬い皮で守られ長期保存によるビタミンの減少が少ない ・熟成するほど糖度が高くなる。 |
伯爵かぼちゃの切り方
伯爵かぼちゃは切りやすいかぼちゃではありません。
伯爵かぼちゃの切りにくいわけ
- 皮が硬い
- ハート形をしているので安定性に欠ける
- 大きい
切りにくいため、以下の技を参考にして切り分けましょう
丸々1個から切る場合
・菜箸でおしりに穴を開けて、包丁を差し入れて切る。
- かぼちゃをひっくり返してまな板において固定する。ぐらつく場合は布巾を敷く。
- ヘタの反対側のおしりの部分に菜箸を差し込み、種の部分まで入れる。
- 菜箸を抜き、できた穴に包丁の先端を差し入れる。
- 包丁が入ったら、包丁を持っていないほうの手でかぼちゃが動かないようにしっかりと固定して包丁を押し下げる。
- 切り残した部分を手で割る。種とワタをスプーンでしっかりとこそげとる。
- 1/4カットにしたい場合は、ヘタを包丁の根元を使って切り落とし、切断面を下にして半分に切る。
スライスする場合
- まな板に濡れ布巾を置き、皮を下にかぼちゃを置く。かぼちゃが動かないように固定する。
- 包丁の先がまな板の上から動かないように抑え、包丁を下におろす。
かぼちゃが動かないようにしっかり固定することがコツです。
きんぴらなどの炒め物
- スライスしたものを5~7mm幅に切る
煮物の場合
- 1/4カットしたものを平らな面を下にして安定させ、ところどころ皮をそぎ落とす。
- 皮のほうを手前に向けて、切断面を下にして安定させ、包丁の根元を使って3㎝幅に切る。
- 3㎝幅の物を同じく皮を手前にして3㎝角になるように包丁の根元を使って切る。
※包丁の根元のほうが力が入りやすいです。
汁物の具に使用する場合
- 3㎝角の物を皮を手前に置き、3㎜幅に切る。
- 硬くて切れない場合は、ラップにくるんで電子レンジで2分ほど加熱すると、軟らかくなります。
電子レンジを使用しないほうがいい場合
- 大きいかぼちゃを切って、残りを保存する:残ったかぼちゃが傷みやすくなる
- 煮物に使う:火が通りすぎて煮崩れしやすくなるため加熱しすぎないようにしましょう。
「やさいのおうち」のこちらの記事も参考にしてください。
かぼちゃの皮むきのコツ レンジや包丁の簡単な方法と煮物で必要?伯爵かぼちゃの育て方・栽培方法と収穫時期
地域別の種まき・収穫時期
傷がないか確かめて、1か月保存すると甘みが増し、ホクホクとした食感でおいしくなります。
ヘタの切り口が乾いてコルク上になったものがおいしいです。
地域 | 種まき時期 | 収穫時期 |
北海道等の冷涼地 | 4~6月(4月はハウス栽培) | 8~9月 |
中間地 | 4月 | 7~8月 |
鹿児島県等の暖地 | 3月 | 6~7月 |
参考:
清水屋種苗園芸
育て方
①種まき
苗床と畑のどちらの場合も、直径4~5センチ、深さ1センチくらいの穴に種2~3粒、とがった方を下にしてまきます。
畑にまく場合は1メートル程度間隔をあけ、1センチほど土をかぶせ、手で軽く押さえ、水やりします。
②つるが出るまで
25~30℃前後に温度を保ち本葉が2~3枚出たら、元気のいいものを1本だけ残し、その他の株は間引きます。
苗床の場合は30日程たち、本葉が4~5枚になったら畑に植えます。
その際は「ホットキャップ」と呼ばれる透明なフィルムやプラスチックでできた覆いをかけて保温します。
③つるが出てから収穫まで
つるが出始めたら、つるが増え過ぎないように親づる1本と子づるを1本~2本ずつ残し、他の物は取り除きます。
花が咲いたら雌花に雄花の花粉をつけて人工授粉させ、45日後に実が大きくなりますが50日以上待って、実が十分大きくなりへたがコルク状になったら収穫します。
※自然に任せておいても虫の働きにより受粉されますが、人工授粉すると確実です。
※伯爵かぼちゃは十分枝が伸びないと実をつけないので、気長に待ちましょう。
※傷がつくとそこから痛みやすいので、長く保存したい場合は実ができた後、下に発泡スチロールのトレーなど(ホームセンターなどで購入可)敷くと良いです。
宙づり栽培のやり方
美しいハート型を作るには、少し手間はかかりますが宙づり栽培がおすすめです。
宙づり栽培は小型のかぼちゃがやりやすく、中大型の伯爵かぼちゃでは難易度が高めなので栽培に慣れてきたら挑戦してみるといいかもしれません。
- 支柱立て:種まき・植え付け後に雨よけ支柱やアーチ支柱などを使って、30cm間隔で挿し、アーチ状に支柱を立てます。支柱がぐらつかないように横棒を3カ所に渡してひもなどで固定します。アーチ全体を覆うように10cm角目の園芸用ネットを張り、たるみがないようにひもなどで留めて固定します。
- 摘芯、整枝、誘引:子づるが伸びてきたら、親づるの先端をハサミで切り(摘芯)、元気のよい子づる3本を残してほかは付け根から切りとります(整枝)。伸びたつるは、その都度麻ひもなどで支柱やひもに誘引します。
- つり玉:実が大きくなってきたら、重みで落下するのを防ぐため、果物ネットなどで果実をつるし、支柱に結びつけて補強します。
参考:
タキイネット通販 宙づり栽培に挑戦
伯爵かぼちゃの収穫時期
種まきから収穫までは120日とじっくり時間をかけて成長します。花が咲いてから収穫までの日数も50日と長めです。
収穫の目安
- 開花から50日以上たっている
- ヘタがコルク化している
一般的なかぼちゃは1か月たったころから腐り始めますが、伯爵かぼちゃはそこからおいしくなるので、成長がゆっくりな分長持ちするかぼちゃです。
伯爵かぼちゃの価格
〇生のかぼちゃ:インターネットで5~7個入り10kg1960円(1個350円前後)9~11月中旬に販売
※直売所などではより安く購入できる可能性あり。
〇種:インターネット通販で
12粒 | 100粒 | |
伯爵かぼちゃの種 | 500円 | 3000円 |
となっています。(2020年11月の値段です)
清水屋種苗園芸:http://www.shimizuya-tanenae.com/item/VS001050600/
〇苗:「農業屋.com」では苗が4本入り円で販売されています。
伯爵かぼちゃの食べ方やレシピ
煮物
収穫直後はしっとりしていて、熟成させるとホクホクとして甘くなります。
煮崩れしにくい特徴を生かし、煮物がおすすめです。
かぼちゃの煮物(2人前)
〇材料
- 伯爵かぼちゃ 1/4玉(500~600g)
- 水 100ml
- 砂糖 大さじ4
- 醤油 大さじ1
- 塩 小さじ1/2
- 伯爵かぼちゃは種とワタを除いて3㎝角に切り、皮をところどころ剥きます。
- 水を鍋に入れ切った伯爵かぼちゃの皮を下にして並べます。
- 砂糖を入れ弱火~中火でコトコト10分煮ます。
- 醤油と塩を加え5~7分煮ます。崩れやすいので、鍋を傾けることで調味料をいきわたらせます。
- 竹串がささるほど火が通って軟らかくなっていれば火を止め、完成です。
揚げ物
ホクホクとした食感と甘さは揚げ物にも合います
焼き物・炒め物
オーブンでじっくりと火を通すとしっとり感や甘さが増し、ホクホクとしておいしくなります。
崩れにくいので炒め物にもお勧めです。
伯爵かぼちゃの正式名称は
開発元の渡辺採種場のホームページでは「白爵かぼちゃ」と記載されているように、正式名称は「伯爵」ではなく「白爵」かぼちゃです。
名前の由来は調べてもわかりませんでしたが、伯爵かぼちゃの白さは他のかぼちゃより際立つ大きな特徴であることから白の字を使ったのかもしれません。
種・苗・青果のどれも「伯爵かぼちゃ」の記載で多く流通しているため、この記事でも「伯爵かぼちゃ」と書いています。
まとめ
伯爵かぼちゃは見た目も白く美しく、食べてもおいしい魅力的なかぼちゃだということがわかりました。
長期保存できることは非常用食材としても助かりますね。家庭菜園でも育てることができる上に年明けまで長く食べられるので、機会がある方は是非作ってみてくださいね。
崩れにくく、煮ても焼いてもおいしくできるので、色々な食べ方を長く楽しんでみてください。
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