ほうれん草は栄養豊富で彩りも良く、かさが減ることでついつい食べ過ぎる場合もあります。
ほうれん草といえば、食べ過ぎたときのシュウ酸が気になる方が多いと思います。
ただ、ほうれん草を食べ過ぎることによって、実際にどうなるのかはあまり知られていないかもしれません。
今回は、ほうれん草を食べ過ぎるとどうなるのかについて、また、食べ過ぎてしまったときの対処法について解説します。
そもそもほうれん草の食べ過ぎとされる量が分からなければ、気をつけられないと思います。
ほうれん草の一日の適量についても解説しますので、参考にしてみてください。
ほうれん草をより美味しく食べられるように、栄養や保存方法も解説します。
ほうれん草の魅力を知り、上手に取り入れましょう。
ほうれん草を食べ過ぎるとどうなる?
ほうれん草は食べ過ぎると、
といった症状が現れる場合があります。
これらの原因のほとんどは、ほうれん草に含まれるシュウ酸にあると考えられています。
- 尿路結石のリスク
尿路結石はシュウ酸とカルシウムとが結合することによって、起こるとされています。
- 腹痛・下痢
ほうれん草に含まれるシュウ酸に加えて、食物繊維も摂取し過ぎると腹痛や下痢につながります。
また、ほうれん草はアクが多く、生のまま食べ過ぎると、腹痛や下痢を起こしやすくなります。
- 吐き気
ほうれん草の食べ過ぎは、体質によって吐き気をもよおしてしまうこともあります。
気になる場合は下ゆでによりアク抜きをしてから食べると、シュウ酸が原因の吐き気を防げます。
- 歯への影響
ほうれん草のシュウ酸は歯にも影響を与えることがあります。
具体的には、歯にきしみを感じたり、歯石がついたりします。
これは、シュウ酸と口内の唾液に含まれるカルシウムとが結びつくことよります。
- 舌のピリピリ感
ほうれん草のシュウ酸は、舌に違和感を与える場合もあります。
ピリピリした感じのほかに、ザラザラした感覚になることもあるようです。
ちなみに、シュウ酸はアクに含まれていて、ほうれん草には100gあたり800mgのシュウ酸があります。
シュウ酸はほうれん草の苦みやえぐみの成分でもあります。
主な食材のシュウ酸含有量の比較(mg/100g)
ほうれん草 | 800 |
---|---|
レタス | 330 |
キャベツ | 300 |
小麦麦芽 | 269 |
さつまいも | 250 |
ほうれん草は野菜の中でも、シュウ酸の含有量が非常に多いことが分かります。
ほうれん草を食べ過ぎた後の対処法は?
食べ過ぎへの対処法として、ほうれん草に含まれるシュウ酸の吸収を抑えるための事前にできる対処法を2つ解説します。
対処法を知っておけば、ほうれん草の食べ過ぎによるリスクが減らせますね。
①カルシウムと一緒に摂取する
シュウ酸とカルシウムを一緒に摂取することによって、カルシウムがシュウ酸と結合し、吸収されるシュウ酸の量を減らせるのです。
たとえば、
- ほうれん草とちりめんじゃこ
- ほうれん草とかつをぶし
- ほうれん草と大豆製品
- ほうれん草と牛乳やチーズ
で一品を作ると、簡単に一緒に食べられますね。
ちなみに、尿路結石はシュウ酸とカルシウムの結合が原因になりますが、腸でシュウ酸が吸収されるより前にカルシウムと結合させれば予防できるとされます。
②ゆでる
ほうれん草のシュウ酸は水溶性であるため、ゆでることで流れ出ます。
ゆでた後は水にさらします。
ゆでる時間にもよりますが、シュウ酸を40~70%減らすことができるといわれます。
ゆでれば、柔らかくなり過ぎて食感も悪くなり、栄養も流出してしまいます。
しかし、シュウ酸を減らすために有効な方法ですので、ほうれん草を調理する際には下ゆでするようにしましょう。
ほうれん草の一日の適量
ほうれん草のみの一日の適量については、正確な数値は残念ながら、見当たりませんでした。
緑黄色野菜の一日あたりの摂取量は120gとされています。
この数値を考慮して、ほうれん草は1/2束で約100gとなり、その日の緑黄色野菜がほうれん草中心であれば、1/2束よりやや多めが適量と考えられます。
ただ、一日の緑黄色野菜がほうれん草だけとは限りませんよね。
他の緑黄色野菜とのバランスを考えながら、食べる量を考えてみてください。
ほうれん草の栄養と効能
ほうれん草の食べ過ぎには注意が必要ですが、ほうれん草は「緑黄色野菜の王様」と呼ばれるほど栄養豊富な野菜です。
ほうれん草の根元のピンク色の部分にも鉄分やマンガンが多く含まれているので、よく洗って根元も食べると良いですよ。
ほうれん草の栄養素の含有量(100gあたり)と成人男女の一日の摂取量目安の比較
栄養素 | ほうれん草の含有量 | 成人男性の摂取量目安 | 成人女性の摂取量目安 |
---|---|---|---|
鉄 | 2.0mg ほうれん草は野菜の中で最も豊富 |
7.5mg | 6.5mg |
βカロテン | 4200μg 冬に収穫されたものは夏に比べて2倍 |
900μg | 700μg |
ビタミンC | 35mg
冬に収穫されたものは夏に比べて3倍 |
100mg | 100mg |
カリウム | 690mg | 2500mg | 2000mg |
マンガン | 0.32mg | 4.0mg | 3.5mg |
マグネシウム | 69mg | 370mg | 290mg |
ほうれん草の栄養素の含有量と、一日に必要な摂取量目安とを比較してみると、ほうれん草100gを食べただけで、約1/3の量を摂取できそうですね。
また、βカロテンが非常に豊富であることも分かります。
各栄養素の効能
鉄
- 貧血予防
βカロテン
- 皮膚や粘膜の形成
- 抗酸化作用
- 免疫力アップ
- 視力改善
- ガン予防
ビタミンC
- 抗酸化作用
- 美肌効果
- 風邪予防
- 免疫力アップ
- ガン予防
- 生活習慣病予防
カリウム
- 体内からの余分な塩分の排出
- 高血圧予防
- むくみの予防・改善
マンガン
- 骨粗しょう症の予防
- 肌荒れ防止
- 健康維持
マグネシウム
- エネルギーの生産
- 精神安定
- 高血圧予防
ほうれん草の保存方法
ほうれん草は乾燥に弱く、乾燥対策をした状態で、0~5℃の環境で保存するのがポイントです。
保存方法としては、
- 常温
- 冷蔵
- 冷凍
- 干し
があります。
常温では長く保存するのは難しいため、調理内容によって冷蔵か冷凍にすると良いですよ。
ほうれん草は冷凍保存もおススメで、新鮮なうちに冷凍すれば、高い栄養価を保てます。
必要なときに凍ったままでもサッと使えるので、常備しておくと重宝しますよ。
詳しいほうれん草の保存方法は、こちらを参考にしてみてください。
やさいのおうち。
ほうれん草の保存方法|冷凍・冷蔵・保存期間と保存食レシピ!茹で方のコツや根元は栄養豊富
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ほうれん草は和食、洋食、中華と、どのような料理にも合わせやすく、頻繁に食卓に登場しますね。
ほうれん草の食べ過ぎによる身体への影響は気になるところですが、栄養豊富なほうれん草を食べないのはもったいないです。
ほうれん草には美肌効果や免疫力アップ、貧血予防など、嬉しい効果がたくさんあります。
ほうれん草の食べ過ぎへの対処法は、カルシウムの力を借りたり、ゆでたりすることで、口に入れる前の段階で食べ方の工夫をしてみましょう。
ほうれん草は生でも食べられない訳ではありませんが、一度ゆでてから調理すると、食べ過ぎたときでもシュウ酸に対する心配は減らせると思います。
ほうれん草は多くても一日あたり1/2束を目安にして、摂り過ぎに気をつけながら美味しく食べましょう。
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