紅こまちと呼ばれるさつまいもがあります。
焼き芋にすると絶品と言われる品種ですが、幻のさつまいもともいわれる、知る人ぞ知るさつまいもです。
紅こまちは、千葉県の一部で生産されているさつまいもで、ほくほくのくちどけの良さと、甘さが特徴的なさつまいもです。
幻ともいわれる紅こまち、カロリーや糖度など、数値的なデータが少ないのですが、紅こまちの特徴、旬の時期、紅こまちの郷ともいわれる産地について、詳しく解説します。
紅こまちの郷香取市では、さまざまな種類のさつまいもが生産されています。
産地を訪ねて他の品種と食べ比べてみるのもおもしろいですよ。
幻の紅こまち、幻とよばれるゆえんを知って、よりおいしく召し上がってくださいね。
紅こまちの特徴
紅こまちは、昭和50年(1975年)に品種登録されたさつまいもです。
甘くておいしいさつまいもなのですが、耐病性が弱かったり、いもの品質をそろえるのに難しいなどの点から、栽培量、流通量の非常に少ないさつまいもです。
読み方・別名 | べにこまち |
旬の時期 | 10月~11月 おいしくなるのは11月~2月ころ |
産地 | 千葉県香取市栗源地区 |
食べ方 | 焼きいも ふかしいも |
食感の種類 | ホクホク |
紅こまちの味や食感
紅こまちは、ホクホクとした粉質のさつまいもで、すじっぽいところが少なくて、ほろりとしたくちどけの良さは、栗のようだとも言われます。
ホクホクしつつも水分が程よく含まれて、食べやすい、甘みの強いさつまいもです。
紅こまちの糖度・甘さ
紅こまちの糖度の具体的数値データについては、情報が少なくはっきりしません。
しかし、品種登録された昭和50年(1975年)当時、それまでの他の品種を上回る甘さで人気を博したともいわれています。
父親 | 母親 | |
紅こまち(1975年) | コガネセンガン | 高系14号 |
紅あずま(1985年) | コガネセンガン | 関東85号 |
紅こまちは、紅あずまとお母さんの違う兄弟のような品種です。
紅こまちのお父さんコガネセンガン、お母さん高系14号、弟の紅あずまは、とても人気のある品種として有名です。
さつまいも作付面積ランキング(2017年)
第1位 | コガネセンガン | 九州地方中心。多くが加工原料にされる。 |
第2位 | 紅あずま | 東日本、九州で人気の品種。甘くておいしい。 |
第3位 | 紅はるか | 2010年に登録された新しい品種。ねっとり甘い。 |
第4位 | 高系14号 | 鳴門金時やべにさつなまどの選抜改良種も含む。 西日本中心に人気。 |
このようなさつまいものトップ選手のファミリーの一員である紅こまち。
とても甘くておいしい、といわれるだけのことはあるといえます。
コガネセンガンは加工品の原料にもなるので、一般の店頭で見かけるさつまいもは紅あずまや高系14号が多く、高系14号より紅あずまの方が甘いとされます。
そんな紅あずまを加熱した時の糖度は約30度。
紅こまちも、焼き芋にすると糖度30度になる紅あずまと同程度、またはそれ以上に甘いのではないかと想像されます。
紅こまちの産地
紅こまちは、千葉県香取市栗源地域で特に多く生産されている、幻のさつまいもです。
1975年に品種登録された紅こまちですが、病気にかかりやすい性質があったので、その後他品種に押されて、生産量が増えませんでした。
農林水産省の統計によると、平成29年(2017年)の作付面積はわずか8ha、千葉県で作付けされているということです。
千葉県香取市は、紅こまちの焼き芋イベントなども行っています。
香取市の「道の駅くりもと 紅小町の郷」では、施設名称にも「紅こまち」の名を冠し、紅こまちの魅力を発信しています。
紅こまちの見た目や中身の色
皮は赤紫色で、紡錘形をした、さつまいもらしい外見をしています。
果肉は黄色っぽく、加熱するとさらに黄色味が増します。
ホロリとしたくちどけのよさが伝わる、ホクホクした見た目です。
紅こまちのカロリー
紅こまちのカロリーについて、具体的な数値データについての情報がなく、よくわかりません。
一般的なさつまいもと、甘いさつまいもの代表選手紅はるかを比較しました。
一般的なさつまいもの焼き芋 | 紅はるかの焼き芋 | |
100g当たりのカロリー | 130~140kcal | 約160kcal |
とても甘く、さつまいもの女王と言われる紅こまち。
正確な数値は分かりませんが、150kcal前後であると予想されます。
紅こまちの栄養
残念ながら、他のさつまいもの品種と比較して、紅こまちの栄養にどのような特徴があるのかという情報がありません。
さつまいもの栄養
- ビタミンC…でんぷんに守られているので熱に強い
- カリウム…体内の塩分バランスを調整するはたらき
- ヤラピン…さつまいもの切り口の白い汁。整腸作用がある
- 食物繊維…整腸作用がある。
さつまいもは、生ではそんなに甘くありません。
加熱調理することで、さつまいもに含まれるでんぷんに酵素が作用し、マルトース(麦芽糖)やグルコース(ブドウ糖)に変化して甘みが出ます。
甘い紅こまちの焼き芋には、マルトース(麦芽糖)やグルコース(ブドウ糖)が多いと考えられます。
紅こまちの旬の時期
紅こまちの生産に力を入れている千葉県香取市では、9月の終わりから10月の初めころから収穫が始まります。
紅こまちに限らず、さつまいもは、掘り出してしばらく貯蔵しておくと甘みが増すという特徴を持っています。
紅こまちをおいしくいただける時期は、11月ころから翌年の2月ころであるといえます。
紅こまちの食べ方
- 焼きいも
- ふかしいも
- 大学芋
- 天ぷら
- 素揚げのサツマスティック
紅こまちの味をそのまま楽しむ、シンプルな食べ方が最高です。
まとめ
紅こまちは、昭和後期に品種登録された歴史あるさつまいもで、味の上でも優れた特徴を持っています。
しかし、現在では一部の地域で生産されるにとどまり、幻のさつまいもとも呼ばれます。
さつまいもの甘みやうま味は、じっくりと時間をかけて加熱することで引き出されます。
紅こまちも、じっくり加熱の焼きいもに適したさつまいもです。
紅こまちは、探し求めて味わう価値のあるおいしいさつまいもです。機会があったらぜひ召し上がってみてくださいね。
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