大根は、いつでも手に入り、生でも火を通してもいろいろな食べ方で食べられる万能野菜です。
大根を生で食べればシャキシャキとみずみずしく、火を通せばとろりとやわらかく、食べ方によって食感もいろいろ楽しむことができますね。
大根は葉や部位ごとにどんな食べ方があるのかや、栄養に差があるのかなどについて解説していきます。
大根は部位ごとに特徴があるので、使い分けることでよりおいしく食べることができます。
大根の葉の食べ方や、大根おろしほか、生で大根を味わうレシピ、辛い大根をどう楽しむか、大根のつまを主役にすえるレシピなど、細かくご紹介します。
また、伝統的な生活の知恵として、のどの炎症や咳などにきくとされるはちみつ大根の作り方や、大根の食べきりレシピもご紹介します。
大根はどんな味付けにもなじむ、和、洋、中、いろいろなジャンルの料理で使える便利な野菜です。
大根の特徴をしっかりおさえて、大根と上手につきあい、いろいろなおいしさを引き出してくださいね。
Contents
大根の食べ方
大根は、実も葉も食べれる万能野菜です。
葉
大根の葉は、βカロテンをはじめとした各種ビタミン、カリウムやカルシウムといったミネラル類、食物繊維が豊富です。
大根の根の方は淡色野菜になりますが、大根の葉はれっきとした緑黄色野菜です。
太くて硬い外側の葉はさすがに食べにくいですが、大根の葉は捨ててはもったいないほどの栄養と健康パワーを秘めています。
柔らかくてきれいな葉がついている大根を手に入れたら、ぜひ葉も食べてくださいね。
大根は、入手したら葉と根を切り離して保存するのが鉄則です。
葉がついたままだと、葉の蒸散作用によってどんどん水分が抜けていき、しなびてしまうのが早いからです。
大きな大根で、立派な葉がついている場合は、葉をゆがいて細かく切って冷凍保存もおすすめです。
かさが減って省スペースになるうえに、保存期間も伸びます。
冷凍した大根の葉は、みそ汁やスープの具材として重宝します。
凍ったまま鍋に投入すればいいので手間も掛かりません。
また、直売所などでは、時期によっては、大根の抜き菜とよばれるものが出回ることがあります。
これは、大根の生育途上で間引きされたもので、柔らかい葉っぱにひょろりと細い根がついています。
大根の抜き菜は若い大根なので、柔らかくあくもすくないです。
細い根っこごと葉とともにすべて食べられます。
大根の葉の炒め物
あつあつごはんにのせて食べるとおいしいです。
私の祖母、昭和一桁生まれ、大戦をくぐり抜け、昭和、平成、令和を生き続ける農家のおばあちゃんのレシピです。
大根の抜き菜で作ってもおいしいです。
- 大根の葉、外側の太くて硬いものは除き、300g~500g
- ごま油 大さじ1
- 醤油 大さじ2~3
- 塩 適量
- いりごま 適量
- 鰹節 お好みの量、多めがおいしい
- 大根の葉をよく洗い、根元を軽く輪ゴムでとめて硬めにゆがき、冷水にとる。
- しっかり絞って水気を切った大根の葉を細かく刻む。
- フライパンにごま油を熱し、大根の葉を炒める。
- 大根の葉に油が回ってきたら醤油を鍋肌から入れて香りをだし、手早く炒め合わせる。
- 塩で味を調える。醤油の風味が足りなければ、醤油を足してもよい。
- 火を止めて、ごまをふり、鰹節をたっぷり混ぜ合わせる。
大根の葉は、油とも相性がよくおいしくなります。
大根の葉に豊富に含まれるβカロテンは、油脂分とともに加熱すると体の吸収がよくなるので、油で炒めたり、お肉や油揚げと合わせるのはとても理にかなっています。
部位別
大根は、葉に近い上の部分、下の部分、真ん中の部分で少しずつ特徴が異なり、適した料理も変わってきます。
葉に近い上の部分は、生で食べるのにむいています。
甘みが強いので生で食べやすいのですが、反面硬い部位でもあります。
千切りにしてサラダにすると大根のみずみずしさや甘さを堪能できます。
下の部分は、細かく切って加熱して食べるのにむいています。
辛みが強く、繊維もおおく筋っぽいので、細かく切って炒め物にしたり、スープの実にしたりするのに適しています。
また、辛い大根おろしをご所望の場合は、この根に近い部分をおろすと辛みの強い大根おろしになります。
真ん中の部分は、わりとどんな料理法でも使いやすい部分です。
甘さと辛さのバランスがよく、柔らかいので、生で食べるのにも、加熱して食べるのにもむいているのです。
大きさもそろえやすく、口当たりも柔らかさも程よくて、風呂吹き大根やおでんなど、大ぶりに切って煮物にするのに最適なのは、大根の真ん中部分です。
大根の食べ方
だいこんは、どんな味付けにもなじむ野菜です。
だしやスープで煮込めば、うま味をたっぷり吸ってとろりと柔らかくなります。
でも、大根らしさ、大根そのものの風味を味わうのは、実は生で食べるのが一番で、生だからこそ摂取できる栄養分もあります。
生で食べる場合、刻んで食べるのか、細かくすりおろすのかで食感も風味も変わってきます。
大根を生で食べるということを切り口に、好みに合わせた調理の工夫や、栄養のこと、レシピのご紹介をしていきます。
生
生で大根を味わうレシピのご紹介です。
スティック大根とディップソース三種・材料
- 大根の葉に近い上の部分 適量
白みそディップの材料
- 白みそ 大さじ2
- ヨーグルト 大さじ2
ぬか漬けタルタルの材料
- きゅうりのぬか漬けみじん切り 1/2本
- マヨネーズ 大さじ3
ナムル風ごまだれの材料
- ごま油 大さじ1
- 塩 小さじ1/4
- おろしにんにく 小さじ½
- 大根は、甘みが強い葉に近い上の方を使い、皮をあつめにむく。
- 皮をむいた大根をスティック状にカットする。
- ディップの材料は、それぞれを混ぜ合わせる。
- お好みのディップをつけて召し上がれ。
千切り大根と鰹節のサラダ・材料
- 大根の葉に近い上の部分 5~6㎝ほど
- 鰹節
- めんつゆ 大さじ3
- お酢 大さじ1,5
- ごま油 大さじ1,5
- 大根は、甘みが強い葉に近い上の方を使い、皮をあつめにむく。
- 皮をむいた大根を細い千切りにカットする。
- めんつゆ、お酢、ごま油を混ぜ合わせドレッシングを作る。
- 器に千切り大根をもり、鰹節をたっぷりのせて、ドレッシングをかける。
大根の塩糀漬け・材料
- 大根の葉に近い上の部分、または真ん中の部分 5~6cmほど
- 塩糀 大さじ2~3
- 塩昆布 ひとつまみ
- 大根は、甘みが強い葉に近い上の方、または甘みと辛味のバランスが取れてやわらかい真ん中のあたりを使い、皮をあつめにむく。
- 皮をむいた大根をカットする。いちょう切り、角切りなど、お好みの大きさ、形でよいが、だいたいの大きさをそろえるようにする。
- ポリ袋に、カットした大根と塩糀、塩こぶを入れ、軽くもんでなじませ、数時間置けば出来上がり。
- 大根の葉を適量刻んで混ぜ込んでも、彩りのよい浅漬けになる。
はちみつ大根
だいこんとはちみつを合わせて出来たシロップは、古くから咳を鎮めたり、のどの不快感に効果があると言われてきました。
基本のはちみつ大根・材料
- 大根 適量
- はちみつ 適量
- だいこんは皮付きのままさいの目に細かく切る。
- 容器か、ジップロックバッグに大根を入れ、ひたひたにはちみつを回しかける。
- 数時間から半日おき、大根から水分が出てはちみつとよくなじみ、湿布上になったら完成。そのままなめても、お湯で割って飲んでもよい。
大根の辛味のもとでもあるアリルイソチオシアネートには殺菌の作用や、炎症を抑える作用があるとされます。
このアリルイソチオシネアートですが、じつはもっとも効率よく摂取する方法は、すりおろすことです。
はちみつ大根の作り方としては、すりおろして、大根おろしの状態にしてはちみつと混ぜるのもよい方法なのです。
はちみつに含まれる有機酸の一種、グルコン酸も殺菌能力に優れ、皮膚粘膜を保護する作用があるとされています。
大根も、はちみつもビタミンやミネラルに富んだ食べ物なので、はちみつ大根は、薬効も期待でき、滋味にあふれた食べ物なのです。
はちみつ大根を作るときに気を付けることは、作り置きできないので、1~2日で食べきれる量ずつ作ることと、1歳未満の赤ちゃんには与えてはいけないということです。
はちみつを1歳未満の乳児に与えると、乳児ボツリヌス症を引き起こす危険があります。
はちみつ大根の残った大根
さて、はちみつ大根は主にシロップとして飲むのが一般的なのですが、残った大根を捨ててしまうのはもったいないことです。
調味料ちょい足しレシピ
残った大根は、加熱して料理してもおいしくいただけます。
加熱して調理する場合は、残った大根をとりあえず冷凍しておくこともお勧め。
のどが痛い、はちみつ大根を作るので精一杯、でも大根は無駄にしたくない…というときは、大根を冷凍保存して、落ち着いたころにリメイク料理できます。
冷凍すると大根のぽりぽりした食感は落ちてしまいますので、生で食べるより、加熱して食べる方が食感の落ちが気にならないといえます。
辛い大根の食べ方 辛さを抑えたい時
辛さを抑えて大根を食べたい、からみの少ない大根おろしを食べたいときのポイントは、葉に近い上の部分を使い、細胞をできるだけ壊さないようにおろすことです。
葉に近い部分を縦に切り、繊維に沿ってすりおろすと、マイルドな大根おろしになります。
また、大根の辛みの成分は、時間がの経過とともに揮発するので、早めにおろして置いておくことでも辛さを抑えられます。
お酢やレモン汁などの酸味のあるものを混ぜたり、ほんのり温める程度に電子レンジで加熱することでも辛さを抑えることができます。
大根は、旬を迎える秋冬に甘みが増すので、秋冬の大根であればより甘く食べることができます。
辛い大根の食べ方 辛さを楽しみたい時
大根おろしをガツンと辛く食べたいときは、大根の下の部分を選び、細かくおろすことでより辛さを楽しむことができます。
おろしたてがいちばん辛いので、食べる直前にすりおろすとよいです。
また、辛味大根とよばれる、辛さが強い種類の大根もあります。
大根の辛味は、アリルイソチオシネアートとよばれる成分が、細胞壁が破壊されて空気に触れることで生まれます。
辛味大根とよばれるのは、このアリルイソチオシネアートが特に多く含まれていて、普通の大根よりも小ぶりで水分が少ない大根です。
大根おろしにしても水気があまり出ず、そばなどの薬味として添えてもつゆが薄まることがありません。
辛味大根は、京都市北区鷹峯地区で生産される京野菜の辛味大根や、滋賀県の伊吹大根といった、在来の伝統野菜としての辛味大根もありますが、これらは流通量が少ないレアな大根です。
レアなご当地大根以外にも、種苗会社の開発した辛いね大根という品種など、手に入りやすい品種もあります。
家庭菜園での栽培も比較的容易なので、気になる方は自家栽培もおすすめです。
刺身のつまの大根の食べ方
刺身に添えられている大根のつま。
見栄えをよくする、刺身から出る水分を吸い取り、刺身が水っぽくなるのを防ぐ、殺菌作用によって食あたりを防ぐなどの目的で、刺身に添えられています。
つまを食べると口の中がさっぱりし、おいしく刺身を食べられるともいわれます。
でも、この刺身のつま余ってしまうこともありますよね。
また、つまだけをパックしてお手頃価格で売られていることもあります。
このつまは、食材としての高いポテンシャルを秘めています。
つまを主役にしたレシピのご紹介です。
やはり、サラダで食べるのは定番です。だいこんのつまはどんなサラダにも変幻自在。
生のお刺身に触れていたつまを、そのまま火を通さないでリメイクするのには抵抗がある場合は、加熱して他のお料理に作り替えてしまいましょう。
お弁当にも使える一品です。
揚げることで、端の方はサクカリ、中の方はほっこり、食感が楽しめる一品です。
大根の食べ方 栄養が高いのは?
大根は、どんな部位をどのように食べると効率よく栄養が摂取できるのか、ランキングで整理してみましょう。
第1位 大根の葉を油で炒めて食べる
大根の葉は、じつは緑黄色野菜に分類され、淡色野菜である根っこの部分よりたくさんの栄養を含んでいます。
カロテン、ビタミンE、ビタミンKは葉には含まれますが根には含まれません。
ビタミンB群やビタミンCは根にも含まれますが、葉の方が数倍多く含まれています。
ミネラルを比較しても、カリウムは葉の方が2倍近く、カルシウムは10倍以上多く含まれます。
食物繊維も、葉の方が多く含まれます。
根の方は、皮をむいて食べることも多いので、食物繊維の摂取のしやすさで考えても葉の方に軍配が上がります。
大根の葉に含まれるカロテンは、油脂分とともに加熱すると体への吸収率がアップしますので、「大根の葉を油でいためて食べる」という食べ方が、栄養の高い食べ方ランキング第1位です。
第2位 大根の根の部分、特に下の部分を皮ごと大根おろしで食べる
栄養の総合力という点では、大根は根よりも葉の方に軍配が上がりますが、根の方は根の方で、健康パワーを秘めた栄養素があります。
大根は、細胞壁が破壊される空気に触れると殺菌作用や抗酸化作用の強いイソチオシネアートという辛味成分が生まれます。
これには、すりおろすという調理法がとても有効です。
そして、大根の下の方や皮のすぐ近くには、イソチオシネアートが多く含まれる上に、食物繊維も多いので、上の方や真ん中の方を大根おろしにするより、下の方を皮ごとおろして食べる、しかもおろしたてを食べる方が効率よく栄養を体に取り込むことができるのです。
ただし、イソチオシネアートは先程も述べたように辛味成分でもあります。
大根の下の方をおろした大根おろしは、上の部分で作った大根おろしよりもだいぶ辛くなるということは心にとどめておいてくださいね。
また、生の大根には様々な酵素が含まれます。
でんぷんの消化を助けてくれるジアスターゼ、タンパク質の分解を促進してくれるプロテアーゼ、脂肪の分解を助けてくれるリパーゼなどです。
大根を生で食べるとこれらの酵素が体内ではたらき、胃もたれや胸やけなどを予防してくれる効果が期待できるのです。
第3位 上や真ん中の部分の皮をむいて加熱して食べる
大根の栄養を効率的に摂取するという観点からみて、最も残念な食べ方といえるのが、大根の上の部分や真ん中の部分の皮をむき、加熱して食べる方法です。
食べ物の消化を促してくれる大根の酵素は熱に弱く、加熱調理した場合その効果は期待できません。
また、ビタミンCやカリウムは加熱することで水に溶けやすくなるので、煮込めば煮込むほど大根から流れ出していってしまうという残念なことになります。
風呂吹き大根やおでんは、大根の太さのそろった真ん中より上の部分を、厚めに皮をむいて作ることが多いですね。
皮のすぐ下に、筋っぽい部分があり、皮ごとこの筋を取り除くことで、口当たりよく、味もしみこみやすくなるのです。
しかし、皮も筋も食物繊維が豊富な部分ですから、栄養的にみると皮をあつめにむくというのは残念なのです。
まとめ
大根は、葉の部分は緑黄色野菜に、根の部分は淡色野菜に分類される野菜です。
葉の方は、総合的に見て栄養分豊富で、ぜひとも工夫して食べることをお勧めしたい部分です。
根の方は、上の方が甘く、下の方が辛いという特徴があり、大根おろしなどにする場合は、好みに合わせて使い分けるとお料理上級者といえます。
特に辛い大根おろしを食べたい方は、辛味大根という辛い大根おろしにむいた大根を見つけるのもいいですね。
大根は、殺菌作用に優れ、はちみつ大根として昔から薬用にも供されてきましたが、ひと工夫することではちみつ大根の残りの大根もおいしく食べられます。
お刺身の添え物、脇役として見られがちな大根のつまも、工夫とアイディアで主役をはれる優れたポテンシャルを秘めた食材です。
栄養的な側面から見ると、大根の葉はとても優れた栄養豊富な野菜です。
根の方は、総合力では葉に劣りますが、生で食べることで大根ならではの栄養を効率よく摂取できます。
しかし、皮をむいてじっくり煮込まれ、存分にだしやスープを吸いこんだ大根も格別なおいしさをもっていますよね。
大根は、幅広い調理法、幅広い味付けで食べることのできるすぐれものの野菜です。
残すところなく、おいしく召し上がってくださいね。
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