かぼちゃの皮についている白い粉や黒い斑点はカビではないか、と心配になる方がいるのではないでしょうか。
調理するときに見つけてしまったら安心して使うことができず、捨ててしまうかもしれません。
実はかぼちゃの皮に付いている白い粉や黒い斑点の成分は食べられるものなんです。
この記事ではかぼちゃの皮についているものの正体やカビとの違いと見分け方について書いています。
正確な情報を知って見極めることで、おいしいかぼちゃを安心して食べましょう。
かぼちゃの皮の白い粉は?
かぼちゃの皮に薄くついている白い粉の正体は、でんぷんです。
かぼちゃをカットした時に、表面に薄くて白い膜のようなものが見られることがあります。
これは、でんぷんが表面に出てきた水分に溶けている状態で、これが皮につき、そのまま乾燥すると白く粉をふいたようになります。
食べても問題はありませんが、気になる場合は切り落としたり、水で洗い流して使いましょう。
また、果実に含まれる脂質から作られる果粉(ブルーム)というものが原因の場合もあります。
ブドウの表面にうっすら白く粉がついている状態が想像しやすいかもしれません。
ブルームは雨や病気から果実を守ってくれる働きがあり、西洋かぼちゃよりも日本かぼちゃに多く見られます。
宮崎で作られている「黒皮かぼちゃ」はブルームが出た時が収穫の目安だと言われているように、日本かぼちゃを店頭で選ぶときは、白い粉のついているもののほうが甘くておいしいです。
ブルームは農薬やカビと間違われることが多く、昔はキュウリにもブルームがついていたそうですが、農薬や病気と思われることを防ぐために品種改良がなされ、現在はみられなくなりました。
果実を守ってくれるものなのにもったいないですね。
かぼちゃの皮の黒い点は?
かぼちゃの実が小さいときに傷がついたり、大きく成長する最中に皮が裂けると、実を守るために人間のようにかさぶたを作り修復します。
かぼちゃの皮についているざらざらした黒い斑点は、修復の跡が「いぼ」となったものだと考えられます。
表面がなめらかではなくざらざらしていたり凹凸のあるものは、店頭に並ばずに加工用になることが多いのですが、実は、つるつるしている物よりも甘くておいしいです。
表面をきれいなまま収穫するためにどうしても早穫りになってしまうため、熟していて表面がざらざらしたものよりも甘さが不十分な場合があります。
ざらざらした舌触りが気になる方はそぎ落として食べましょう。
ちなみに、下のほうの皮が一部オレンジ色になったものは土と接触していた部分で、「グランドマーク」と言い、表面が日焼けすることなく中の実の色と同じ色が現れています。
そのため、オレンジ色の濃いものを選ぶと甘くておいしいです。
かぼちゃの皮の下に白い個体があるとき
かぼちゃの皮の下に白い塊ができていることがありますが、これは「クリスタル症状」と言い、でんぷんや糖が白く結晶化する現象によるものです。
かぼちゃが畑で育つ間に、猛暑や雨不足などで高温になったり乾燥することで、カボチャの茎から実に運ばれる栄養素が途中で詰まるために発生します。
カビではないので安全性には問題ありませんが、薬品臭い匂いやカビ臭、苦みがあり、加熱しても硬く残ってしまうので、取り除いて調理したほうがいいでしょう。
かぼちゃのカビの見分け方
カビは空気中にどこでも存在しますが、かぼちゃのように水分と糖分を含む栄養豊富な食品についた場合、繁殖してしまうため、保管には温度と湿度に注意が必要です。
カビの種類別の見分け方について紹介していきます。
黒カビ
黒カビは皮だけでなく、実や種のワタにも生え、周りも黒ずんでいます。
触った感じもブヨブヨしていて、きついにおいがする場合があります。
それに対し、かぼちゃの皮の黒斑は表面の皮だけにみられ、実を切ってみても中にみられません。
持った感じもにおいも普通のかぼちゃと同じです。
黒カビは「クラドスポリウム」といい、カビの中でも一般的な土壌菌で、空気中にも多く浮遊しています。
日当たりが悪く、湿気の多い場所に保管している食べ物には特に繁殖しやすい特徴があります。
黒カビは食中毒を引き起こすカビ毒を保たず、熱に弱いため、カボチャを食べる上であまり気にする必要はありません。
黒カビが種やわたに生えている場合は丁寧に取り除き、皮や果肉に生えている場合はその部分を約3~4cm厚めに切り落とし、加熱調理しましょう。
しかし、黒カビが広範囲に広がっていると、ほかの菌が付着している可能性や、カビの酵素によって腐っている場合もあるため食べないほうがいいでしょう。
黒カビは取り除いて加熱して食べても無害ですが、傷口から体内に入ってしまった場合や、呼吸器を通して胞子を吸い込んでしまった場合は、アレルギー症状や黒色真菌症などの原因となってしまう危険性があります。
青カビ
青カビはその色から、緑色の皮と青カビを見間違えてしまう場合があり注意が必要です。
皮のすぐ下に生えている青カビは特に判別しにくいので、カットして実の部分に生えていないか確認しましょう。
実の部分にも確認できれば青カビが繁殖しています。
青カビは常に空気中に漂っているので、パン等に生えやすいです。
一般的な青カビは毒性がなく、チーズや鰹節などを製造するときに利用されますが、稀に食中毒を引き起こす可能性のあるものもあるため、食べてはいけません。
小さなカビでも周りに菌糸が広がっている場合があるので注意が必要です。
また、青カビが生える環境は他の菌も増えている可能性があります。
白いカビ
ふわふわとした糸状の白いもの(菌糸)があり、その周りが湿っている場合は白カビです。
かぼちゃのでんぷんは表面に薄く白い粉をはたいたようになり、クリスタル症状による白い物質は、断面に凹凸の無いシミのような形状となっていて、菌糸は見られません。
しっかりと見極めましょう。
実は白カビは青カビの仲間で、カマンベールチーズなどの製造に利用されています。
ただし、ほとんどが毒性を持つカビ菌で、その中には発がん性を持つものもあります。
カビ自体は加熱処理によって消えますが、カビ毒は残っており、加えて白カビの持つ分解酵素の力が強く品質が落ちています。
そのため、かぼちゃに白いカビが生えていた場合には、絶対に食べず、廃棄してください。
カビを防ぐためには
保管環境と下処理が重要です。
カビは気温20~30℃・湿度70%以上の環境で繁殖し易いため、風通しが悪く、気温と湿度の高い場所ではすぐ繁殖してしまいます。
また、カビはかぼちゃに付着した土にも含まれているため、水でしっかり洗い、水分を拭き取ってから保存しましょう。
カボチャは丸ごと新聞紙に包み、冷蔵庫の野菜室に入れることで、1~2ヶ月程はおいしく食べられます。
しかし、カットしたカボチャは種や綿の部分にカビが生えやすいため、必ず取り除き、断面が空気に触れないようにラップや保存袋に入れ、野菜室で保存しましょう。
冷凍保存もおすすめです。
まとめ
かぼちゃに白い粉や黒い斑点がついていたら、よく様子を観察し、カビかそうではないのか見極めましょう。
切り口が白いからと言ってカビが生えているわけではなく、「でんぷん」かもしれません。
黒い斑点も、カビと見分けられれば安心して料理に活用することができます。
栄養満点なかぼちゃを、正しい知識を身につけて、おいしく召し上がってくださいね。
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