さつまいもを食べ過ぎると腹痛や下痢便秘まで!?

さつまいもは食物繊維が豊富に含まれ、お腹の調子を整えてくれますが、食べ過ぎると腹痛、便秘、下痢などの症状が現れることがあります。

調理法を工夫し、食べる時に少し気を付けるだけで、脂肪になるのを防いだり、整腸効果を得ることができます。

さつまいもを食べ過ぎると起こる症状とその予防法を知り、安心して美味しく食べたいですね。

この記事では、さつまいもを食べるときの適切な量や、糖尿病に与える影響なども紹介していきますので、どうぞ最後までお読みください。

さつまいもを食べ過ぎると?

さつまいもを食べ過ぎると腹痛や下痢や便秘を引き起こしてしまいます。

その原因は豊富に含まれる食物繊維にあります。

焼き芋1本(230g)当たりに含まれる食物繊維は約8gですが、これは一日に必要な量の約3分の1にもなります。

食物繊維はヒトの消化酵素では消化されない炭水化物で、昔は役に立たないものとされていました。

今では様々な作用があることが研究により発見され、水に溶けるかどうかで不溶性と水溶性に分類されます。

不溶性食物繊維は、消化されずに大腸まで届き、水分を吸収して数倍から数十倍にも膨れます。

便が柔らかくなりかさも増え、腸壁を刺激してぜん動運動を活発にすることで、便の排泄を促したりスムーズにさせたりする効果があります。食事の満足感の向上にも役立ちます。

水溶性食物繊維は腸の中でわかめや昆布のようなぬるぬるしたゼリー状になり、腸内の老廃物や有害物質を巻き込み、便とともに排出されやすくします。

血糖値の急上昇を防止し、コレステロールの吸収を抑制してくれるため、生活習慣病の予防に効果があります。

腹痛

さつまいもを食べ過ぎて腹痛になるのは、ガスがお腹に溜まってしまうことが主な原因です。

食物繊維を食べた時に、小腸には繊維分を分解する酵素がないため、そのまま大腸へ送られて腸内細菌によって分解されます。

大量に食物繊維を食べると腸内細菌の発酵が活発になり、処理しきれない食物繊維が急激に増えるため、腸内にガスがたまってしまいます。

ガスはそれ自体は悪さをおこしませんが、不快感や腹痛が問題です。

さつまいもをたくさん食べると、腸内のガスの量が増えて、おなかが張る、痛む、おならが出やすくなります。

しかも日本人は、長年の野菜中心の食生活から大腸が長く、ガスがたまりやすい腸です。

さつまいもは適量を食べるようにし、できてしまったガスはうつぶせ寝で下に降ろし、楽に排出しましょう。

ガスを出しやすくするポーズもあります。

さつまいもを食べた時にでる二酸化炭素や水素・メタンは、さほど臭くないガスです。

もし、くさいガスが出た時は、腸内環境を見直すチャンスかもしれません。

腸内には、数にして1000兆個以上、総重量にして約1.5kgになる多種多様な細菌が棲みついていますが、その中には腸内の健康を維持する「善玉菌」と、腸内に腐敗物を溜めようとする「悪玉菌」がいます。

悪玉菌は肉のタンパク質を餌にしているので、野菜が少なく肉中心の食事内容で増え、硫化水素やアンモニアなどの臭い物質やガスを発生させます。

さつまいもの食物繊維は、悪玉菌を吸着して身体の外へ排泄する働きがあるので、適量を食べて悪玉菌を出しましょう。

下痢

さつまいもの柔らかな甘味はでんぷんが麦芽糖(マルトース)に分解されたものによるものです。

しかし、糖質は分解しづらいので体に負担がかかります。

小腸で糖質をうまく吸収できないため、小腸内の浸透圧が高まることで、それを正常に戻そうとして小腸内に過剰に水分が引き込まれます。

その結果、小腸内で水分が過剰に増え下痢になってしまいます。

下痢になってしまった場合はお腹を温め安静にし、水分の補給が大切です。

下痢の場合の水分補給には、水やお茶よりもスープやみそ汁、果汁などが適しています。

失われたミネラルを水分とともに補いましょう。

便秘

さつまいもの食べ過ぎた時に腸内に水分が少ないと、便秘になってしまうことがあります。

食物繊維には不溶性と水溶性がありますが、さつまいもには不溶性食物繊維のほうが多く含まれています。

この水に溶けにくい食物繊維が腸の中に入ると、周りの水分を吸収します。

腸内に水分がたくさんある状態では腸内の水分を吸収して便のカサを増やし、腸の蠕動運動を活発にしてくれます。

しかし腸の中に水分が少ない状態だと、腸の環境を保つための水分まで便に奪われてしまいます。

すると、便がカチカチになり、腸の滑りも悪くなるので便秘になってしまいます。

便秘を予防するために水分を十分にとることが大切です。

さつまいもにはヤラピンという成分が含まれますが、これは便秘予防に役立つ成分です。

ヤラピンは、さつまいもを切ったときに出てくる白い液体です。

ヤラピンは腸のぜんどう運動を促進して、便を軟らかくする効果があります。熱に強い性質なので、さつまいもを蒸したり焼いても効果が減少しません。

ヤラピンは、さつまいもの食物繊維との相乗効果で便秘を防ぐと言われています。

さつまいもを食べる時には水分をたっぷりとると、ヤラピンという成分も手伝って、便秘を予防してくれます。

さつまいもを食べ過ぎると?糖尿病の人は気を付けて

さつまいもは高カロリーなので、食べ過ぎると体の中で脂肪になってしまうので注意が必要です。

調理法を工夫してゆっくりよく噛んで食べると血糖値の上昇が穏やかになります。

さつまいものカロリーは100gで134kcalで、中サイズ1本(約250g)のエネルギー量は335kcalですが、ご飯の量に換算するとどのくらいか見てみましょう。

ご飯の量とカロリー

小盛り(100g) 168kcal
普通盛り(150g) 252kcal
大盛り(200g) 336kcal

なので、さつまいも一本は大盛りのご飯1膳分とほぼ同じです。

他のいも類100gあたりのカロリーと比較した場合は、

じゃが芋 81kcal
里芋 59kcal
長いも 59kcal

となり、さつまいもが長いもや里いもに比べると約2倍もカロリーがあることがわかります。

カロリーの高いさつまいもを食べる時、糖尿病の人はどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。

糖尿病とは

糖尿病とは、体内のインスリンが分泌されなくなったり、量や働きが低下して血液中のブドウ糖(血糖)を体内で効率よくエネルギーに変換できなくなったりする病気です。

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度を示す数値のことで、健康な人の体では血糖値を下げる「インスリン」と、上げる働きをする「グルカゴン」の作用によって、血糖値は適正値内になるよう調節されています。

血糖値が上がるとすい臓からインスリンが分泌され、糖をエネルギーとして筋肉や臓器などに送る一方で、使われなかった糖を脂肪として溜め込みます。

体内に入ってきた糖が効率よくエネルギーとして使われれば良いのですが、血糖値の上がり方が急であればあるほどインスリンが多量に分泌され、糖が脂肪に溜め込まれてしまいます。

欧米型のエネルギー過多な食事や早食い、甘いものをたくさん食べるという食生活が、血糖値の上昇と深くかかわっています。

糖尿病の予防には適正なエネルギー量を知り、食事習慣を改善することが一番です。

自分の標準体重に、基礎代謝と身体活動レベルから、1kgあたりに必要なエネルギー量をかけた数字が一日に必要なエネルギー量です。

日本医師会のHPから一日に必要なエネルギー量を計算できます。

日本医師会HP

糖尿病の方は、必要なエネルギー量の範囲内で、主食、主菜、副菜をそろえ、栄養バランスよくとることが大切ですが、過不足なく栄養素を取るのは面倒なものです。

これを簡単に算出できるようにしたのが、「糖尿病食事療法のための食品交換表」です。

これは栄養素の似た食品を6つに分類して、各食品を1単位=80kcal相当の重量で表示したものです。

これをもとに一日のエネルギー量を朝・昼・夕に配分します。

同じ食品群の中で同じ単位分をほかの食品と交換できるので、栄養バランスを崩さずに、食事が無理なくできます。

この食品交換表の中では、さつまいも(70g)中1/3本が1単位とされています。

さつまいもと同じグループの食品にはご飯やイモ類があります。

さつまいも1単位(1/3本)と同じグループの食品と量

  • ご飯(50g)⇒茶碗軽く半杯
  • パン(30g)⇒6枚きりの半分
  • じゃがいも(100g)⇒中1個
  • かぼちゃ(220g)⇒中1/4個

つまり、さつまいもを食べた時は、その分その日のごはんやパンの量を少なくすることで、無理なくバランスをとることができます。

さつまいもは焼き芋にすると血糖値が上がりやすくなるので注意

食後血糖値の上昇を示す指標、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)というものがあり、GI値と略されます。GI値は、

  • 高GI⇒70以上
  • 中GI⇒56-69
  • 低GI⇒55以下

となっています。

ちなみに、ブロッコリーは25、あんぱんで95、上白糖で100を越えます。

さつまいもの調理別GI値は以下の表のとおりです。

さつまいもの調理法 GI値
55
焼き 94±8
茹で 46±5
揚げる 76±7

生のさつまいもは低GI食品で血糖値の上昇が緩やかな食品に含まれますが、調理法によりGI値が上がってしまいます。

焼き芋にするときに長時間加熱することで、でんぷんが麦芽糖に変化して吸収されやすくなり、ご飯やパンと同じ高GI食品になります。

そのため、さつまいもを食べる時は、蒸す・煮るなどの調理法で食べることがおすすめです。

さつまいもに含まれる食物繊維は、余剰な糖や脂質を体外に排出してくれるため、血糖値の上昇を緩やかにしてくれる作用があります。

適量を守り、調理法を工夫して美味しく食べましょう。

さつまいもの適量

一日1本程度(約250g)が適量です。

さつまいもを食べた過ぎた時は、同じ炭水化物のご飯やパンを少なくして調整しましょう。

また、お腹を壊しやすい人は過敏性腸症候群の疑いがあるので、食物繊維の多いさつまいもは一度に半分までにすると良いでしょう。

過敏性腸症候群とは

検査を行っても目に見える異常がないにもかかわらず、下痢、腹痛、腹部膨満感、ガス、便秘などの症状に悩まされる病気です。

人口の10%程度の人が症状を抱え、特に女性に多いという報告がされています。

過敏性腸症候群の方のおなかの不調の原因として、FODMAP(フォドマップ)という糖質があります。

FODMAPとは腸内で発酵しやすい4種類の糖類(オリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール(糖アルコール)の頭文字をつなげて作られた名称のことです。

さつまいもに含まれる糖分の麦芽糖はFODMAPに該当しないので、低FODMAP食とされていますが、食物繊維が多いので摂取量は半分までと推奨されています。

まとめ

さつまいもを食べ過ぎると腹痛や下痢や便秘になってしまうことがありますが、水分を取る事や適量を食べるなど工夫することで予防できる事がわかりました。

食べ過ぎてしまったときにはその後のごはんやパンを減らしたり、調理法を変えることで血糖値の上昇を抑えることができるので、工夫してさつまいもをおいしく食べましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です